東三河の生活や産業を支える豊川用水は、極めて厳しい水不足の中で新年を迎えた。水資源機構によると、5日午前0時現在の観測データでは、主水源である宇連ダムの貯水率は10・4%まで低下した。昨年12月25日から実施されている10%の取水制限は継続中だが、水源全体の貯水率も29・3%と3割を割り込み、さらなる制限強化が危惧される局面に入っている。
今回の渇水は、2019年5月に宇連ダムの貯水率が0%に達して以来の深刻な事態である。当時の渇水は春先の少雨による一時的な枯渇であったが、今回は2025年を通じて4月、8月、12月と計3度の節水措置が取られるなど、慢性的な水不足が続いている点に特徴がある。年間で3度の節水発動は、戦後最大級の渇水に見舞われた1994年に匹敵する異例の頻度だ。
貯水率低下の直接的な要因は、昨年夏から秋にかけての極端な少雨にある。特に8月の降水量が平年のわずか4%にとどまったことに加え、例年であれば水源を潤す秋の台風や秋雨前線の活動が鈍かったことが重なった。気象庁の分析では、ラニーニャ現象に伴う海面水温の変化により日本付近で高気圧が張り出し続け、雨をもたらす低気圧の進路が北へ逸れたことが影響したとされる。この結果、冬の乾燥期を前にダムの貯水を回復させる機会を逸した形となった。
今後の中長期的な見通しも楽観できない。気象庁や民間気象会社が発表した1~3月の予報では、太平洋側は例年以上に晴天が続く見込みで、降水量は平年並みかそれ以下と予測されている。冬場は水源地でのまとまった降雨が期待しにくい季節であり、貯水率の抜本的な回復は、春の低気圧が通過し始める3月下旬以降まで持ち越される可能性が高い。
このまま少雨傾向が続けば、田原市をはじめとする国内有数の農業地帯では、冬キャベツの生育や温室野菜の出荷にさらなる影響が出ることは避けられない。本来、夏季の渇水対策として有効な「佐久間導水」(天竜川水系)も、現行の運用ルールでは冬期の活用ができず、自前の水源のみで供給を維持している。流域住民には、春までの長期戦を見据えた、より一層の節水意識の継続が求められる。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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