三河市民オペラ制作委員会と名古屋音楽大学(名古屋市中村区)は18日、豊橋市役所で記者会見し、2028年5月にオペラ「ランメルモールのルチア」を上演すると発表した。極めて難易度が高いという。併せて、両者は地域の文化芸術振興や人材育成を目的とした連携協定を締結した。市民オペラが大学と強固な協力体制を築き、東三河から日本最高水準の舞台芸術を発信する新たな挑戦が始まる。
次回の本公演は、28年5月6日と7日の2日間、同市草間町の「アイプラザ豊橋」で開催される。指揮は園田隆一郎氏、演出は高岸未朝氏が務め、管弦楽には愛知室内オーケストラを迎える。
ソリストは公募オーディションで選出されるプロ12人が務め、合唱団は56人の市民で構成される。27年3月には、公平性を期すためソリストオーディションの一部公開も予定している。
会見で鈴木伊能勢委員長は、物価高騰などの厳しい現状に触れたうえで「演目を変えるだけの上演では立ち行かない」と危機感をあらわにした。「しょせん地方のオペラだと言われるのが我慢ならなかった。妥協せず、日本最高を目指す」と自負を語り、ポスターのコピーを従来の「目撃せよ」から「一緒に乗り組もう」へ刷新したことを明かした。成功が約束されていない冒険に市民を誘い、共に感動を分かち合う「総合芸術」の完成を期す。
また、音楽大学との連携について、清水皇樹学長は「技術教育だけでなく、地域社会に貢献できる人材を育てることが大学の使命。2年をかけてオペラを制作する現場を学生に提供できることは、非常に貴重な実践の機会になる」と意義を強調した。具体的な内容は今後決めるとしている。継続的な連携を考えているという。
制作委員会は豊橋市制100年の2006年に記念事業としてスタートして以来、20年の歴史を持つ。市民が主体となってプロと高水準の舞台を作り上げる手法を継続してきた。その実績は高く評価されており、これまでの上演は「魔笛」(06年)▽「カルメン」(09年)▽「トゥーランドット」(13年)▽「イル・トロヴァトーレ」(17年)―と続き、23年には「アンドレア・シェニエ」の上演を成功させた。同年「第10回JASRAC音楽文化賞」を受賞した。
今回は本公演に向けた序章として、今年6月12日に「穂の国とよはし芸術劇場プラット」でテノールリサイタルを開催し、2年後の大海原へ向けて出航する。
1835年にイタリアで初演されたドニゼッティ作曲の悲劇。ウォルター・スコットの小説が原作で、17世紀のスコットランドを舞台に、宿敵の家系に属するエドガルドと愛し合いながらも、兄エンリーコの策略によって非情な運命へと引き裂かれる女性、ルチアの悲劇を描き出す。第3幕で純白の衣装を血に染め、ルチアが正気を失い歌い上げる「狂乱の場」は、ベルカント・オペラにおける不滅の名シーンとされる。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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