あいさつは「オス」、学生服で冬でも素足にげた。昔ながらのスタイルで知られる愛知大学應援團(おうえんだん)で今春、創部から73年で初めて女性の団長が誕生した。3年生の中西悠さん(21)だ。
1953年に発足した団は近年、深刻な部員不足に悩み、今春に卒業した前団長の東久保亮太さん(22)が引退すれば廃部という存続の危機に立たされていた。中西さんが入団したきっかけは、大学生らが育てた米を児童養護施設などに寄贈する大学主催の「愛大米プロジェクト」に参加した際、団の窮状を聞いたことだった。吹奏楽部出身でスポーツ経験はなく、文化部一筋。「人前に出る経験が少なかった自分をさらけ出し、殻を破りたい」との思いから、あえて厳しいしきたりのある世界へ飛び込んだ。礼儀や人間性を高めることが、将来社会で役立つと考えたからだ。昨年11月のことだ。
受け入れ側の東久保さんは当初、「変わった人が来たな」と驚いた。男子学生が来ると想定していたため、小柄で爽やかな女子学生が現れるとは想像していなかったが、初めて会った時に中西さんの覚悟は伝わったという。東久保さんは、普段から学ランにげたで講義に出席し、団の認知度向上に努める。先輩がいない中で団を引き継ぎ、自ら手探りで運営を続けてきた。厳しいしきたりだけでなく、個々の多様性を重んじる「令和の応援団」を目指して中西さんを指導してきた。
主な活動は入学式や卒業式などの式典での演武だ。大学広報課は「応援団の演武は学生に大きなインパクトを与える。同窓生とのつながりを維持する上でも欠かせず、大学として応援していきたい」とその重要性を語る。東久保さんは、集中練習で夜遅くまで打ち込む中西さんを「頑張り屋」と評価する。
東久保さんが25日に卒業し、応援団は再び中西さん一人となった。現在の目標は新入団員を5人以上集めて大学から正式な「認定団体」として認められることだ。「女性でも入れることをアピールし、男女問わず仲間を見つけたい。入学式での演武をまずは頑張りたい」と意気込む中西さん。「大学の名前を背負って皆さんの前に立てるよう頑張ってほしい」という激励に中西さんは「オス!」と力強く応えた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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