選抜されたのは大西洋・カリブ海にすむ魚たちです。水族館でよく見られるカラフルな海の魚は南太平洋の魚たちが主流で、沖縄・ マニラ・インドネシア ・セブなどからの便でやってきます。比較的距が近く、短時間で安価に日本にやってくるのがメリットです。
いっぽうで今回展示候補で選ばれた魚たちはこれら水族館を支える太平洋よりも遠方からやってきます。輸入の便も少なく安定せず、 必然的に貴重レベルが上がり、乗じて入手価格も高いという困った魚です。
魚を展示する上ではさまざまな対処すべき困難な事がらがありますが、わが水族館にとって一番の問題は、この際はっきり言うと価格なのです。このため、水槽に収容する魚の選定の大きな要素に 「その魚がいくらするのか」が深くまとわりつきます。
しかし今回は70周年で気合を入れて、なかなか皆さんが見ることのできない魚たちを展示するので高くて買えないでは情けない! 限りある予算をやりくりして捻出し、業者にも決死の値切り交渉を挑み勝ち取った魚たちを展示しています。支払いの時は心なしか手が震えますね。水槽に導入してからは、しばらく毎晩心配で寝つきが悪く、毎朝出勤して元気に泳いでいる姿を見るとホッとする精神衛生上やや困った魚たちなのです。
金銭的貧困問題を決し、水族館にやってくる大西洋・カリブ海りの魚たち。今回は大型ヤッコと言われるグループの魚たちが中心なのですが、一度に全員やってくるわけではりません。便が少なく不安定、日本に輸入されてもその便に欲しい種類の狙ったサイズの魚が来ているかどうは思うようにいきません。そのため、希望のものがある時にすぐ入手しておくのが鉄則になります。逃すと次に入手する機会がだいぶ先になるからです。
しかしここで彼らのクセが邪魔をします。魚たちは自分たちの泳ぐ水槽を自分たちの家だと認識します。自分の家に突然知らない人が入ってきたら皆さんならどう思われますか。魚も同じで、排除する行動をします。新入りをヒレが裂けてボロボロになるまで徹底的に追い回すのです。
これを回避するために、飼育員のテクニックが必要になります。 なるべく気の優しいサイズの小さな魚から展示水槽に入れていくのです。後から水槽に入る魚のほうが大きくて気が強いと、先住魚は攻撃排除行動をできないのです。これが逆だと大失敗となります。そのため、飼育員は全魚の性格を把握し、収容する順番を考えます。 導入するときは念のため水槽の中にもう一つ水槽を浮かべて、数日のあいだ互いの姿を見せて間接的に「お見合い」をさせて、よく行動を観察してから導入することもよくあります。
狙った魚の入荷があるたびに見定めて水族館に搬入、様子を見て展示水槽に慎重に導入します。動物園と違い、 水族館は非常に多くの種類を一つの水槽に入れてみんな仲良く展示することが結構な難点なのです。こうして集まった魚たちは、「 クイーンエンゼル」「フレンチエンゼル」「グレイエンゼル」「キングエンゼル」「ロックビューティー」などの海水魚マニアが目を輝かす水族館での展示が少ないちょっと貴重な魚たち。
お客さんに見てもらうために工面して飼育展示をするのですが、 担当飼育員にとっては胃が痛い水槽。この水槽の魚たちだけでいくらかかっているのか、 もし死んでしまったら、なんてことは考えてはいけません。とにかく毎日全員仲良く元気に水槽を泳ぎ回ってもらうのです。
そのためのもう一つのクセは、彼らの健康や鮮やかな体の色を維持するために必要なことである餌です。実は今回の展示水槽の貴重な魚たちには海苔(のり)をあげています。海苔を食べさせると健康で鮮やかな体色の維持に効果があるのです。 しかし、味海苔は駄目。 調味料などの入っていない焼き海苔をスーパ ―で買ってきてあげています。副食としてエどや専用の植物含有のバランスの良い餌もあげています。他の水槽の魚たちの食べているもの(オキアミやコマセ、アジの切り身)とは違うVIP対応で食事が用意されています。
さまざまな「クセ」 を乗り越えて展示されている貴重な遠方の海から来たカラフルで貫禄ある魚たち。広めの水槽で悠々と泳いでいますのでぜひご来館してじっくり観察してください。飼育員に出会った際はお気軽に声をかけてください。さまざまな裏話が聞けるはずです!
創立70周年を記念し、さまざまなイベントを開催します。順次情報公開していきますので詳しくはホームページや竹島水族館SNSをご覧ください。
9月6日までは毎年人気で好評のアーティスト 「NAMIKO」 さんの絵画作品展を行います。人気作品、 新作を含め今回は貴重な「失敗作」 も展示予定です。
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竹島水族館
愛知県蒲郡市竹島町1-6
TEL: 0533-68-2059
開館時間:9:00~17:00
休館日:なし
購読残数: / 本
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