東三河を流れる1級河川「豊川」には、堤防の決壊を防ぐために、あえて水をあふれさせる「霞堤(かすみてい)」が金沢、賀茂、下条、牛川の4地区にある。氾濫発生情報の対象になっておらず、気象庁の「キキクル」に情報が反映されない。危険な場合は市町村が連絡することになっている。金沢地区の住民には、「これは差別」と訴える人がいる。
すべてを堤防にすると、洪水時にどこが決壊するのか分からない。場合によっては、下流部の住宅地で大きな被害が発生する可能性がある。全体でみて被害を最小限にとどめるため、霞堤地区がある。ここに住む人たちは、他地区の人たちを洪水から守るために、犠牲になっている構図だ。
氾濫発生情報の対象外になっていることで、気象庁が無料で提供している土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度をリアルタイムで確認できる「キキクル」に霞堤地区の情報が反映されない。地域住民の男性は「従来から対象外になっていることに異議を申し立てているが、今年5月から気象庁が発表する防災情報の内容が変わっても、無視された形だ」と憤る。
これに対し国土交通省豊橋河川事務所では「霞堤地区は、他地区に比べて洪水の危険性が高まるタイミングが早い。キキクルで情報を発信してしまうと、他エリアの住民に誤解を招く可能性がある」と理解を求める。豊川市では、市独自の防災アプリで情報を発信しており「霞堤地区の皆さんには適切なタイミングで情報を出している」と話す。
一方でこの住民は豊川市の情報発信について「2018年、23年の洪水時では避難情報のマニュアル、住民に説明した基準での情報発信はしていない。適切なタイミングではない」と市の対応について疑問を示す。
先日、金沢地区であった「豊川霞堤地区浸水被害軽減対策協議会」でも議論になった。この住民は「四国では、霞地区とそうでない地区を分けて情報を出している。このような対応もできるのではないか」と訴えたが、住民と役所の意見は平行線のままだった。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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