3人の子育て中の女性が一念発起、33歳から大道芸人を目指し、プロデビューした豊橋市在住の「なほっち」(本名・山下七布子)さん。8日に名古屋市東区の「ウィルあいち」で開かれる「女性の生き方」を重視するコンテスト「Beauty Japan」中日本大会にファイナリストとして出場する。
豊橋市生まれで、現在小学6年生、3年生、4歳の子を育てる。子ども好きで、出産前は児童遊園の職員だった。エンターテイナーとしての原点は、子連れで参加できるダンスチーム。その中のママさんチーム「Relife&Smile」に所属し、単に格好よく踊るだけでなく、観客を楽しませることに喜びを見出していったという。
メンバーの着替え時間に、待っている子どもたちが飽きないようにと、なほっちさんは場つなぎの「エンタメ枠」を担当。この活動が表現力の礎となった。転機は3人目を妊娠中でダンスができない時。チームのリーダーから声を掛けられ、初めて挑戦したのがバルーンアートだった。この経験と、後にSNSで目にした大道芸人ユニット「おんぷらんと」の幻想的な世界観が重なり「大道芸こそが自分の進む道」との気持ちが固まったという。
全くの未経験からのスタート。YouTubeでの独学を経て、蒲郡市の大道芸人「快斗」さんに弟子入り。現在も師匠の下で一輪車やジャグリング、ローラーボーラーなどの特訓を重ねながら、「のんほいパーク」で働きつつプロのパフォーマーとして県内外での活動を始めた。
なほっちさんが目指すのは、単に技を見せるだけではない、見た人の心が温かくなるような「物語のあるショー」だ。ショーは3種類用意している。一つはシャボン玉、もう一つは少女が試練を乗り越えて仲間と出会い魔法使いになるストーリー仕立てのパフォーマンス。自身の歩みを投影しており、多くの親子連れの心をつかんだ。三つ目は本格的な大道芸のステージで、こちらは今構成を練っている最中だ。
今回出場する「Beauty Japan」は、外見の美しさを競うものではなく、社会に対してどのような思いを持ち、活動しているかという「女性の生き方」を審査する。なほっちさんの活動をSNSなどで知った主催者側からオファーがあり、ファイナリスト40人の中の一人として出場が決まった。
大会での90秒のスピーチに、これまでの道のりと思いのすべてを込めるという。かつて子育ての中で孤独を感じ、自信を失っていたが、挑戦を通じて「今の自分が一番好き」と言えるようになった。その姿を通じて、自らを後回しにしがちなお母さんたちへ「いくつからでも自分次第で人生は変えられる」というリアルな希望を届けたいと考えている。
「家族の応援があってこそ」と夫や子、母や姉の支えに感謝するなほっちさん。最も大切にしているのは、3人の子どもたちに「楽しんでいる大人の姿を見せること」だ。練習で失敗し、悔し涙を流す姿も隠さず見せることで、困難を乗り越えて夢をかなえる過程を伝えている。
「目標は日本中、そして世界中の人にショーを届けること。テレビなどのメディアを通じて、外出が困難な人にも笑顔を届けたい」。なほっちさんの「心温まる魔法」を届ける挑戦は、まだ始まったばかりだ。
購読残数: / 本
愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。
週間ランキング
日付で探す