突破口としての「農」

2016/12/02 00:00(公開)
 地球温暖化対策のパリ協定が発効し、日本も遅ればせながら批准しました。温暖化対策は各国に迫られるだけでなく、地域も、また個人レベルでも取り組まなくてはならない喫緊の課題です。考えたいのは「新しい思想」です。

 私たちは地球温暖化という危機の真っ只中で生活しています。人類の産業活動による二酸化炭素の大量放出が主な原因です。「地球上の生物が見舞われる6度目の大絶滅期」とさえ心配されています。
 巨大台風やハリケーンの発生、異常豪雨や干ばつ、感染症の拡大、海面上昇、生物種の絶滅などの被害は目に見えるものとなっています。地球温暖化は、まさに「今そこにある危機」なのです。
 備えは始まっています。例えば東三河の生物多様性を考えようというフォーラムもその一つといえるでしょう。過日、豊橋市で開かれました。
 研究者による基調講演のほか、高校生たちが東三河の自然や地理を調査した活動報告を行いました。フォーラムからは地球温暖化をにらみ、東三河の生物多様性を守ろうとする若く熱いまなざしが伝わってきます。

 産業の一分野としての「農業」に対して人間の多種多様な営みを意味する「農」が見直され、社会の底流に静かな変化をもたらしている、として文明史家の関曠野さんは著書『グローバリズムの終焉』に書いています。
 <東日本大震災と福島原発の破局は日本の転機になると誰もが感じ……衰退しつつある産業とされてきた「農業」の国民的関心事としての「農」への変容を加速させるだろう>
 <太陽がもたらすエネルギーを享受する地球だけが唯一の生産者であり、人間はこの生産に助力しているにすぎない……「農」は生産の秩序、文明の様態の転換、人類の思想の刷新を推進する原理にほかならない>
 また、<昔も今も農は気象や地形など人知を超えた自然の力に左右され土地への愛情と配慮なしには続けられない営みである……農とは特定の労働のことではない。それは農的活動をとおして世界における人間の地位を理解しようとする心身一体の作業―「野の文化」なのである>と。

 豊かな自然、温暖な気候、豊穣な文化―。そうした東三河は、関さんが提言する「農」をキーワードにする今後のあり方を探るのにふさわしい地域ではないでしょうか。
 野の文化―。なんだかわくわくする「光」を見るように思えます。
 ポスト3・11の国の形、また都市と地方、地方の生き方を探る行動を「ガラスの天井」が覆っていてはなりません。天井の向こうには青空が広がり、透かし見えています。ガラスを打ち破る必要があります。
 もうすぐ新しい年が始まります。新年を「地方(東三河)転換の年」とするためには新しい思想が必要です。
(代表取締役 本多亮)
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