豊川市は若手教職員の育成の一環で、「豊川の授業 16のポイント」という冊子を作成し、全小中学校に配布した。授業方針に定評のある教員の意見を参考に市現職研修委員会が作成。ベテラン先生らにとっても初心を忘れない大切な“教材”となっている。
子どもを前に教壇に立つ者の心得として「あいさつ」「学習規律」「課題」「考えを表現する」「発問」「教師の姿勢(授業展開)」など16項目でアドバイスを記している。
「団塊の世代」の退職に伴う若手教員の増加を受け、市教育委員会の提案で作成。市内の学校で指導法が優秀な教員から集めた意見を反映した。昨年4月から全小中学校に配布している。全項目で4段階評価のチェックリストもあり、教員同士で“授業力”向上に励んでいる。
桜町小学校(山田佳宏校長)では、昨春新任で2年生学級を担任する石田雅代さん(24)は「授業を進める上のコツが書いてあり、大学の教育実習で習ったことも思い出せる」と愛用。項目「板書」からは、黒板でチョークの色を使い分けるなど視覚に配慮した指導法を生かし、「机間(きかん)指導」からは児童一人ひとりの席を回り、子どもと同じ高さの目線で語りかけることを心がけている。
小牧市出身で、小学生時代の担任教員にあこがれて教師の道を志した石田さんは「明るいクラスにできるように、子どもの目線に立って分かりやすい授業ができるように精進していきたい」と話す。
市内で20代の若手教員は200人近くおり、冊子は授業改善の参考書となっているが、山田校長は「長年やってきた先生でも原点回帰できる貴重な資料です」と話している。
(由本裕貴)