示されたコンセプトに疑問
豊川市八幡地区のスズキ跡地予定地に進出する大型商業施設・イオンモールが、市に出店に向けたコンセプトを掲示した。健康志向や防災で地域に寄与する一方、来店客を市中心部や豊川稲荷周辺に回遊を促す構想「とよかわ新参道」には、具体的な取り組みや根拠が乏しい面も指摘される。
東三河初のイオンモール誕生に向けて、交流広場と①子育て・コミュニティ②ウェルネス・ライフスタイル③食文化体験④次世代・スマートライフの4機能を備えた多機能型複合施設の建設を掲げる。施設概要はまだ示されていないが、駐車場との関係から、店舗面積はイオンモール岡崎店と同規模とされる。
交流広場では、近隣に建設が予定される新文化会館や、豊川稲荷などと協力した文化・スポーツ・交流イベントを検討。①ではボルダリングやVR体験、豊川稲荷のキツネをモチーフにしたフォトスポット、②では市民病院と連携した温浴やフィットネス、健康関連の物販・サービス、③では三遠南信地方の産直広場や地産地消レストラン、④では自動車メーカーによる次世代技術や介助支援用車両のPRを盛り込む。
また、災害時には避難所としての役割や支援物資の提供、生活インフラ支援を提言。地域住民と連携した防犯活動なども提案している。
一方で、イオンモールは八幡地区と、行政機能や公共施設、プリオがある諏訪地区、豊川稲荷や門前商店街がある豊川地区を結ぶ「とよかわ新参道」構想を掲げ「岡崎や豊橋など周辺市町村からの集客を実現させ、豊川市の交流人口の増加に取り組む」「地域の魅力の発信や、地区間の回遊性の向上を図る」としている。
しかし、来店客に諏訪や豊川地区への回遊を促す具体的な取り組みは示しておらず、諏訪地区で衣料品店を営む女性は「イオンモールで買い物した人がプリオに来てくれるとは思えない。現実離れしている」と指摘。初詣シーズンに限らず、来店客が豊川稲荷へ足を運びたくなるような展示・PRや、門前商店主らの出展コーナーの無償提供を求める声もある。
(由本裕貴)