「全国高校サッカー選手権」に挑む豊橋市出身の兄妹がいる。兄の名倉眞祥さんは強豪校の青森山田の3年生。妹の愛佳さんは佐久長聖の1年生で司令塔を務める。ともに県予選決勝ではゴールを決めるなど存在感を示し、チームを全国に導いた。「二人で笑顔で終わりたい」と健闘を誓い合う。開幕は男子が28日、女子が29日。
眞祥さんは幼稚園でサッカーを始め、鷹丘小1年時にチームに入団。6年生で主将を務め、強いフィジカルを武器にミッドフィールダーとして活躍した。中学1年からは「AS・ラランジャ豊川」に所属。コーチの勧めでフォワードに転向し、ゴールを量産した。
高校の入学先に選んだのが優勝4回の青森山田。「不安より上でどれだけ通用するかという楽しみが大きかった」と話す。だが、上のカテゴリーで試合に出るまでには長い道のりだった。部員は200人超。4軍の「D2」から1軍の「A」まで6カテゴリーがあり、活躍が認められないと上がれない。「C」でスタートしたが、2カ月で「D」に落とされ、「スピードが全然違う」とレベルの差に驚いた。それでも「選手権のピッチを踏みたい」と足元の技術やキックの精度を必死に磨いた。
1年生の3月、父隆祥さんに眞祥さんから電話が入った。「サッカーを辞めたい」。「春の遠征でゴールを決めても評価されない。この先やる意味があるのか」と話す眞祥さんに、父は「辞めていいよ。でも誰かがきっと見ているよ」と諭した。その言葉に「もう少し頑張ってみようと思えた」と回想する。
2年時は下積みが続いたが、3年生の6月に「A」の練習に参加すると、9月からはサイドハーフの準レギュラーに。「U18青森ユースサッカー」でMVPを獲得するまでに成長した。選手権予選ではベンチだったが、決勝の八戸学院戦で後半35分過ぎに駄目押しの3点目を決めた。本大会では「一日でも長くサッカーをするために何事も全力で」と意気込む。
愛佳さんは兄の影響で小学1年から始めた。「リフティングやドリブルの技術、身体能力は抜群」と隆祥さん。中学では「FC豊橋デューミラン」で男子とともに汗を流した。佐久長聖ではパスセンスを武器に1年から司令塔として活躍する。憧れは元バルセロナのアンドレス・イニエスタ選手。中盤での視野の広いプレーに「いつかは私も世界に」と夢見る。チームの目標はベスト4。「全力を出し切れるように頑張りたい」と話した。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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