ユニチカの土地売却訴訟 豊橋市が控訴

2018/02/21 00:00(公開)
 ユニチカ(大阪市)が豊橋事業所(豊橋市曙町)の土地を豊橋市に返還せず売却したことをめぐる住民訴訟で、市は20日、市長が同社に対して損害賠償金63億円の支払いを請求することを命じた名古屋地裁の判決を不服として、同地裁に控訴したと発表した。市長が控訴人となり、19日付で書面で郵送した。
 豊橋事業所を市が誘致した1951(昭和26)年に締結した契約書には、「大日本紡績(ユニチカの前身)は将来敷地の内で使用する計画を放棄した部分は、これを豊橋市に返還する」が記載されており、訴訟は豊橋市に対し土地を返還する義務の有無が争点となった。
 市側は、控訴理由について「判決は対象土地の使用計画の全部放棄の場合にも適用されると判断し、市側の主張を排斥した」とし、「改めて誘致当時の状況を踏まえた解釈の正当性を主張し、控訴審で判断を仰ぐ」と説明した。
 会見した市幹部は、具体的な主張に関して「控訴審の中で述べさせてもらう」と話した。
 ユニチカの土地売却をめぐっては、2015(平成27)年秋、閉鎖していた同事業所の跡地約27万平方㍍が63億円で大手住宅建設の積水ハウスに売却された。
 これに対し、市に返還せず売却したことは契約の不履行として、市民130人が佐原光一市長を相手に住民訴訟を起こし、名古屋地裁は今月8日、市長が同社に対し損害賠償金の支払いを請求することを認める判決を言い渡した。
 一方、佐原市長は16日の定例会見で「私たちの主張は今でも正しいと理解している。理解していただけるよう改めて控訴審として市側の主張を正しく、分かりやすく説明して判断を仰ぐことを考えている」と控訴の意向を明らかにしていた。
(中村晋也)
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