「市民への背信行為」

2018/02/23 00:00(公開)
ユニチカ跡地の売却問題で豊橋市が名地裁控訴

 ユニチカ(大阪市)が豊橋事業所(豊橋市曙町)の土地を豊橋市に返還せず売却したことをめぐる住民訴訟で、市長が同社に対して損害賠償金63億円の支払いを請求することを命じた名古屋地裁の判決を不服として、市側が同地裁に控訴した点について、原告団(宮入興一団長)は22日、「市民への背信行為」とする声明を発表した。
 ユニチカの土地売却をめぐっては、2015(平成27)年秋、閉鎖していた同事業所の跡地約27万平方㍍が63億円で大手住宅建設の積水ハウスに売却された。
 これに対し、市に返還せず売却したことは契約の不履行として、市民130人が佐原光一市長を相手に住民訴訟を起こし、名古屋地裁は今月8日、市長が同社に対し損害賠償金の支払いを請求することを認める判決を言い渡した。市側は19日付で控訴した。
 原告団は、住民訴訟に踏み切ったのは「市議会での議論の経緯を全く無視して、市民にも議会にもなんら説明することなく、ユニチカ跡地売却を容認してきた佐原光一市長の政治姿勢に対する市民の強い怒り」とし、請求額は63億円に遅延損害金を合わせると70億円超になると指摘。
 「請求することは豊橋市と市民にとって利益こそあれ、損失は何もない。市長が控訴することは市と市民の請求権を拒否するもので、市民に対する決定的な背信行為。控訴を取り下げ、ユニチカに請求することを求める」と訴えている。
 また、市議会に対しても3月定例会で厳しく問いただすこを求めており、全市議に声明文などを配布した。
(中村晋也)
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