愛知県蒲郡市出身で元中日ドラゴンズの伊藤康祐さん(24)は、社会人軟式野球のフタバ産業(幸田町)の選手として活躍している。「このチームで日本一を目指したい」という新天地での挑戦を追った。
二つ上の兄の影響で小学1年から野球を始めた。中京大中京高校に進学すると、1年秋にレギュラーを獲得。2年秋からは主将を務め、3年春に内野手から外野手に転向した。3年夏に出場した甲子園初戦の広陵戦でバックスクリーンへ先制の本塁打を放つなど活躍し、2018年のドラフト5位で中日入りを果たした。
デビュー戦は鮮烈だった。19年4月30日の巨人戦(東京ドーム)にスタメン出場し、プロ初打席で初安打、守備でもファインプレーを見せた。「コーチから当日にいきなりスタメンと言われて頭が真っ白になった。力を出し切れてうれしかったけど、2軍戦とは比べものにならないほど疲れた」と振り返った。
だが、プロの世界は甘くなかった。打撃ではプロの球の速さや変化球の切れに苦しんだ。チーム内では、大島洋平、平田良介らのレギュラー陣に加え、岡林勇希らの台頭で出場機会が減少。昨年オフに戦力外通告を受けた。「なんとなく分かっていた」と言う。
感謝の気持ちを伝えるためにトライアウトには挑戦したが、気持ちは固まっていた。「プロに挑戦するつもりはなかった。プレッシャーを感じながら野球をやるのはつらかった。妻はやってほしかったと言ってくれたが、自分の力を考えるとここまでかな」と区切りをつけた。
第二の人生に選んだのは「フタバ産業」。自主トレ先の知人からの紹介がきっかけで入社した。「練習環境が整っているし、昼過ぎから練習させてもらえるのがありがたい。何より地元に近い場所で野球をやって元気な姿を見せたい」と語る。
平日は自動車部品の数値を測定する業務をし、練習は週3日。ランニングに始まり、ストレッチ、キャッチボール、打撃練習などに取り組む。伊藤さんは「チームの雰囲気も明るい。はしゃぐタイプじゃないけどよくふざけるようになった」と話す。軟式は「強く振るとボールがつぶれてしまうので難しい」と言うが、手応えをつかみつつあるという。
直近の目標は11月の「水戸市長旗東日本軟式野球選手権大会」で優勝すること。「チームに少しでも貢献できるように」とボールを追い続ける。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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