自主映画で渥美古窯PR、復元のドキュメント映像と上映へ

2025/03/23 00:00(公開)
自主映画「渥美古窯殺人事件」の撮影現場=山正山﨑の裏山文庫で

「渥美古窯」を豊橋市内で復元した陶芸家稲吉オサムさん(49)が、自主映画「渥美古窯殺人事件」を制作している。古窯を復元したドキュメント映像と一緒に上映する予定だ。

 

 渥美古窯は平安から鎌倉時代に渥美半島から豊橋南部にかけて用いられていた。日本三大古窯の一つに数えられている。国宝に指定された物もある。稲吉さんは窯造りから取り組み、昨年4月に焼いた。

 

 穴掘りから始まり、復元した窯で陶器を焼き、それを展示した。これらの取り組みをドキュメント映像として記録しているが、それだけでは面白くないと、フィクションの自主映画を加えることにした。

 

 出演は、古窯づくりに携わった人たち。稲吉さんをはじめ、呉服店「山正山﨑」社長の山﨑嘉大さん(42)、石巻山の売店「日の出屋」の河邊義明さん(40)ら。撮影と脚本は、ドキュメント映像を担当した三輪誠之さん(69)。三輪さんは映画づくりにも長く携わってきた。

 

 物語は、山﨑さんが渥美窯で焼かれた国宝級のつぼを山で見つけたところから始まる。だが世間に公表できずにいた。そこで、この窯を利用して公表しようと計画。この秘密を知った窯づくりを手伝う人たちが、公表しようとして窯の中で焼かれたり、生き埋めにされたりして殺される。コメディーの要素を加えて面白い内容に仕上げる。

 

 撮影は復元渥美窯をはじめ、作品を展示した山正山﨑の裏山文庫、稲吉さんの作業場などで敢行した。本格的で明かりにもこだわった。室内撮影では、シートを張って外光をシャットアウトし、ろうそくの位置で明るさを調整することも。出演者にプロの俳優はいないが、表情やしぐさ、せりふ回しなどで三輪さんが厳しく指導する。3月からロケを開始。4月にクランクアップし、編集を経て6月末頃までには完成する予定だ。衣装は山正山﨑と日の出屋が協力している。

 

 山﨑さんは「愉快に役作りに取り組み、楽しい雰囲気で撮影が進んでいる。渥美窯に興味を持ってもらえる人が増えてほしい」と話す。稲吉さんは「映画を通して渥美窯を復元する取り組みを多くの人に知ってもらいたい」と張り切る。

稲吉さんと再現した渥美窯の内部
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竹下貴信

1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。

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