#宙三河プロジェクト Vol.10
豊増さんに聞く宇宙データ活用術
今回は“宇宙オタク”の元豊橋市視聴覚教育センターの学芸員・豊増伸治さんに指導を仰ぎながら記者が宇宙データを実際に取得してみました。
―豊増さん、その画像①は何ですか?
豊増 季節を変えて衛星から撮影した新潟県三条市の田園地帯の画像です。
―なんだか色が全然違いますね。
豊増 夏は一面が青々とした稲で覆われていますし、雪深い場所なので冬は一面銀世界になっています。季節によって大きな違いが出るのは面白いですね。それではこの画像を、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の衛星データ検索システム「MADAS」(https://gbank.gsj.jp/madas/map/)から取ってみましょう。
―はい。まず、日本地図上で見たい場所を選択して。
豊増 最初にグーグルマップ等で場所のあたりをつけておくと、データが探しやすいですよ。いつ衛星が撮影したか分からないので、一番古い1990年からの画像で上空の雲の量が10%以下くらいのものを検索しましょう。衛星データは圧縮されているので、解凍ソフトを用意しておいてくださいね。圧縮はtar.bz2形式、画像はtif形式なので、無料ダウンロードできる一般的なソフトで閲覧・画像処理可能です。
―たくさんの画像が出てきました。画像の違いは何ですか?
豊増 この連載で勝間さんが説明していたとおり、バンドごとに見ている波長帯が異なります。この中から使えそうな画像を選定します。データを解析していくと、例えば植物の生い茂り方、針葉樹と広葉樹の識別などが行えます。さらにカラー着色することで本物に近い色を再現できます。もちろん撮影日などの情報を見ることもできます。
―雪に覆われていなくても、稲がある時期とない時期では違いがよくわかりますね。(画像②)
豊増 はい、そんな感じで、何を見たいか?によって使う画像の場所と波長と撮影時期を選びます。
―画像の取得は意外に簡単でした。豊増さんは日常生活でも画像を検索しますか?
豊増 実際やってみたい事はたくさんあるのですが、目的によっては解像度が少し粗いんですよね。でも間もなくもっと高解像度のデータが使えるようになる予定ですし、大量の画像の中から目的の特徴をもった場所を見つける技術は同じですので、どうやったらうまく見つけられそうか?と、方法を考えているところです。
取得した画像(バンドvnir2)。黒っぽいところが水田(画像②)