【連載】宮本先生のゼロからわかる金融教室(2) ふやす リスクから目をそらさずに向き合おう

2025/01/01 19:00(公開)

 北極圏のオーロラツアーに参加しても、天候が悪ければオーロラは観れませんよね?

旅行を満喫できるかどうかは、天候、交通事情、混雑状況(他の観光客の行動)、国によっては治安や犯罪の状況などの影響を受けます。でも、そのリスクを避けていたらどこにも行けません。

 

 お金の増やし方(資産運用と言います)も、旅のリスクと同じです。前回、「ためる お金を貯めるときに最初に考えるべきこと」で、旅行の計画を立てるのと同じように、人生やお金の計画(ライフプランやマネープラン)を作ってお金を貯めていく説明をしました。しかし、堅実な貯金で人生の計画を実現できるのは、桁違いの高収入か、莫大な親の資産(親からの援助)でもない限り、なかなか難しいのが実情です。充実した旅のために不確実なことを受け入れてチャレンジするのと同じように、充実した人生(とそれに必要なお金を生み出すこと)のために、チャレンジしてお金を増やす必要があります。

 

 では、チャレンジしてお金を増やすためにどうすればよいでしょうか。アルプスの絶景を観る旅行の計画になぞらえて考えてみましょう。多くの人は、旅の計画を立てるときに、晴れた日のアルプスの絶景を思い浮かべます。考えたくないですが、悪天候だったら山小屋で長い時間を過ごすだけです。時期やルートによって晴天率が違うなら、それを調べて旅程を組めば、成功確率を高めることができるでしょう。

 

 お金を増やすためのチャレンジも同じです。人生を豊かにするために必要なお金(=アルプスの絶景)を得るためには、自分の努力だけで何とかなるものではなく、株式、債券などの金融商品や土地・建物、マンション、アパートなどの不動産の価格がどのように変化するか(=天候)によりけりです。まずは、リスクをとってチャレンジするという決断が必要でしょう。確実に資産を増やせる(=絶対に絶景を見れる)という保証がないことを覚悟しなければいけません。

次にやるべきことは、不確実な未来を思い浮かべることです。晴れたアルプスの絶景と同時に、悪天候のことも想定します。資産運用では、投資に成功して資産が大きく増えたときのことだけでなく、失敗したときのことも想定しましょう。どれくらいの失敗に耐えられるかは人それぞれです。

 

 成功の確率を高めるために、リスクについて徹底的に調べます。何も調べずに旅に出ても運が良ければ絶景が観られるように、運だけで資産が増えることもあります。成功確率を高めるためには、旅行で天候やルートを調べるように、資産運用では株式市場や不動産市場について勉強しなければなりません。日々のニュースの報道が株価や地価にどのように影響しているか、長い期間にわたって株価や地価がどのように変化しているかを見極める必要があります。

 

 自分で調べて勉強する自信や時間がない人は、旅先の気候や旅行の注意点について旅行会社や旅行代理店の窓口に聞くように、金融の専門家に相談しましょう。でも、専門家がすべてを決めてくれるわけではないので、大雑把に言って自分がどのような資産運用をしたいのかを説明しなければなりません。どんな旅をしたいのかを説明するように。

 

 その上で、金融機関の営業担当者などの専門家から、どんなリスクがあって、どのようにリスクに対処したら良いか、アドバイスを受けます。専門家はできるだけわかりやすく説明してくれるかもしれませんが、説明を理解するための最低限の金融知識は必要ですね。

 

 リスクとの向き合い方が、お金を増やすためのポイントです。そのための情報は、ネット、書籍、金融機関から手に入ります。情報に溺れないように取捨選択していきましょう。

 

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宮本弘之(みやもと・ひろゆき)

野村総合研究所で32年間、経営コンサルティング業務に従事。主に金融機関の経営コンサルティングを担当、日本人の金融行動や富裕層の研究を立ち上げる。2022年4月から豊橋技術科学大学で経済学及び金融の教育・研究に取り組む。その傍ら、豊橋市内でのアントレプレナーの育成、リスキリング、金融経済教育の各分野の活動にも携わっている。東京工業大学修士(経営工学)、埼玉大学博士(経済学)。豊橋技術科学大学総合教育院教授(22年4月~)、同建築・都市システム学教授兼務(24年4月~)。

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