社会貢献型自販機でフリースクール授業料無料化へ

2019/09/19 00:01(公開)
ゆずりは学園が支援できる社会貢献型自販機=田原市野田町で
ゆずりは学園が支援できる社会貢献型自販機=田原市野田町で
 不登校の子どもたちを受け入れる民間のフリースクール。その財源は授業料や寄付に頼る一方で、授業料が支払えず、通えない困窮家庭の子がいる。子どもたちの学びの場、居場所としての必要性が高まる中、フリースクール「ゆずりは学園」(田原市野田町)を支援しようと、ジュース1本からできる社会貢献型自動販売機が同市内に登場した。「支援の手が届かない経済的な不安を抱える家庭のため、授業料無償化を目指し、設置台数100台が目標」と、沓名和子学園長(70)は善意の輪の広がりを期待している。
 いじめや学校にうまくなじめないなど、さまざまな理由を抱え、年間30日以上、学校を欠席した不登校児童・生徒は2017(平成29)年度に全国で過去最多の約14万4000人にのぼった。昨年度は豊橋市で約500人、田原市でも74人いた。
 01年にフリースクールを開校した「ゆずりは学園」は、通信制高校と就労支援も設け、小学生から青年までの社会復帰を支援。これまで相談を含め2000人以上が巣立った。
 現在、田原、豊橋、豊川各市で開校するフリースクールには、小学3年~中学3年生の6人が通う。経済的不安を抱えている家庭も多く、3万円の入学金が支払えない場合には免除してきた。相談に来たものの、経済的な理由で通学を諦めた親もいたという。
 ゆずりはの授業料は、通う回数により1カ月1万3000円~2万5000円。授業料と寄付のほか、ポイントカードから発生する失効ポイントを支援にまわす取り組みを始めたが、運営は厳しい。
 3年前に成立した教育機会確保法では、学校以外の学びの場の重要性を認め、国や自治体が経済的措置を行うよう求める。
 福岡県は07年度から、運営団体へ最大で200万円を補助する制度を創設し、北海道札幌市でも児童・生徒数に合わせ補助金を出す。
 一方、愛知県や田原市からの公的支援はない。市町村が設ける無料の適応指導教室は学校への復帰が前提で、「先生が嫌で学校へ通えない子どももいる。教育の多様性は必要」と沓名学園長は話す。
 今年6月、社会貢献型自動販売機の設置にかねてから取り組む自動販売機管理会社「サン・カンパニー」(豊橋市)が、ゆずりはオリジナルの自販機製作に乗り出し、今月、田原市内に設置した。ジュースを1本買うと、10円がゆずりはに募金される仕組み。設置、配線は同社が無償で行い、設置者は場所と電気代を負担する。
 募金は人件費や体験学習などにかかる経費に充てる予定で、多くの支援が安定的に集まるようになれば授業料の無償化も夢ではない。
 自販機を目にすることでフリースクールの認知度も高めたいと考える。沓名学園長は「学校以外の居場所がある。1本の寄付が子どもたちの未来につながります。ぜひ、支援をよろしくお願いします」と協力を呼び掛けている。
 自販機設置の問い合わせはサン・カンパニー(0532・45・9105)へ。
(飯塚雪)
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