「剣理人倫 我外皆師」③「名カメラマンでなく迷カメラマンが多い」

2024/09/19 19:00(公開)

非常勤教師・豊橋市剣道連盟事務局長 荒木輝彦

 

 旧聞に属する話ですが、携帯電話(今はスマホと呼ぶのが自然)の普及に比例して、操作や取り扱い方法のルール決めに苦慮する保護者や学校関係者は多く、関連した事件事故も少なくないです。私が豊橋市の小中学校PTA連絡協議会の会長時に、テーマとして掲げたのが『スマホやゲームから子どもたちを守る』でした。

 もう10年前のことです。永遠の課題なんですね。便利なものには弊害が伴う。先人の教えです。スマホの教育やルールをどうすればいいのか必要性を感じていても、規則を遵守する学校や自宅外では目が行き届かず、個人の判断が優先されるので難しいです。

 そしてもう一つの問題が、スマホを持っている人全員がカメラマンにもなるという事です。性能もよく画質鮮明となれば景色だけでなく、珍しいものにはシャッターチャンスとばかりに撮りまくっています。

 それに今は共有するために、SNSで喧伝したくて我慢出来ないのが現状です。でも被写体が人物の場合は特に注意が必要です。肖像権とは、その人の姿形もしくはそれらを撮影した画像が持つ権利のことで、「人格権」と「財産権」に分けられます。人格権とは許可なく撮影、描写、公開されない権利のことを指します。本人にその気がなくても大衆の場でスマホを使用していると、対面の人はレンズを向けられていると勘違いしてトラブルに発展するケースもあります。細心の注意が必要です。

 先日私は面白い体験をしました。授業後に時間があまり、高校生たちと雑談をしていたら「先生写真を撮ってくれますか」と言われたので、快諾していつもの慣れでその場に入ろうとしたら「シャッターを押してくださいですよ」と笑われてしまった。女子高生のスマホで撮ろうとしたら「1枚だけでいいです」と言われ、撮ってすぐ確認したら写した女子高生たちとは別に私の顔写真も出てきた。驚愕している私に「今はこういうアプリもあるんですよ」と言われ、価値のない私の写真を提供してしまった。「必ず削除しますから」と言われたが、削除されたらさみしいと思う自分の弱い心根が出てしまった。まだまだ修行が足りないです。

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