宇宙つかってみりん

2020/03/06 00:00(公開)
#宙三河プロジェクト  vol.13
勝間さんと山中館長に聞く㊤

貴重な資源保護や生態の解明へ

 宇宙と一見、無関係に見える生物の世界。だが、新しい機器の登場でこれまで追跡困難だった自然環境下での生物の行動や生態を知る情報が得られるようになった。今回は、貴重な資源保護や生態の解明をもたらす可能性がある生物と宇宙の関わりについて、蒲郡市「生命(いのち)の海科学館」の山中敦子館長とフライト・プラン・オリジナル代表の勝間亮さんに聞いてみました。

 ―世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学(大阪府東大阪市)が小型人工衛星の製作に取り組んでいます。

 勝間 外洋での生態を研究するため、特殊な液晶フィルムをマグロに貼り、宇宙からマグロの位置を探そうというプロジェクトが一昨年から始まりました。絶滅危惧種であるクロマグロなどの天然資源保護のためには、回遊ルートの特定、産卵場所の把握など、詳細な生態調査が重要。広範囲に追跡できる新たな生態調査方法が開発されれば、マグロ以外の水棲生物の養殖につながることが期待されています。

 山中館長 魚を食べるのが好きな私としてはうれしいです(笑)。

 勝間 近大は、地上500㍍の航空機から反射材をつけた魚にレーザーを照射したリアルタイムでの観測はすでに成功しており、次は上空400~600㌔の宇宙空間にある人工衛星側に反射材を貼り、地上からレーザーを照射して観測が可能か実証実験を行う予定。しかし、衛星や小型のレーザーをつくるのが大変だと思います。

 山中館長 バッテリーの開発などさまざまな分野の業者が関わってくることになりますね。

 勝間 技術はいつも科学からはじまり、工業へフィードバックすることで進歩してきました。近大はマグロ養殖の技術はほぼ完成しており、「近大マグロ」として実売もされています。次は宇宙からマグロを見ることをテーマとしたいようです。
(つづく)
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