豊橋市吾妻町の総合病院「光生会病院」は、昨秋から勤める増田猪一郎医師を中心に眼科の診療体制強化に本腰を入れる。最新機器の導入で手術時間の短縮化を図る。また10月からは1泊2日の入院のほか、日帰り手術に対応する。増田医師は「地域住民のニーズに合わせた診療をしたい」と話す。
増田医師が着任する昨年までの数年間、同病院では眼科手術はしていなかったが、地域住民から緑内障や白内障など目の病気への手術を含めた対応を要望する声が出ていた。昨年10月に増田医師が赴任し、4月には目の内部を立体的に撮影できる「OCTアンギオグラフィー」や、超音波白内障手術装置など最新機器を導入。人々のニーズに応える体制を整えた。病院関係者は「眼科部門にとって患者さんと正面から向き合う増田医師はまさに救世主」と語る。
増田医師の診療スタイルの原点は富山県小矢部市内の病院で14年間医長として働いた経験だった。約3万人の小さな町で、病院に来る大半は慢性疾患を持つ70~90代の高齢者。最初は患者との距離感や顔と名前を覚えるのに苦労したというが、徐々に患者の一人ひとりの生活スタイルを理解し、治療法を提案するスタイルが「自分に合うな」と手応えを感じていた。
その後岐阜県高山市や横浜市、新潟県長岡市内のクリニックで働いたが、規模が大きくなると患者との距離は遠くなる。「やっぱり患者さんと密接にかかわっていきたい」と光生会病院を選んだ。
大切にしているのは「患者の声を聞く」こと。「何事も患者さんと相談しながら」と話す。趣味や生活習慣など何気ないことでもカルテにメモをして診療に役立てる。例えば、白内障の手術の際に目に入れる「眼内レンズ」。患者の生活スタイルに合わせて提案する。「ゴルフが趣味の患者には1カ所にピントが合いやすい単焦点、テレビをよく見る人は遠近のバランスが優れている多焦点レンズを勧めることが多い」と話す。
10月から始める日帰り手術について「白内障で、目が見えにくいけど体は元気な方が多い。入院と聞くと抵抗を感じ、別の医院を紹介してほしいという患者さんが多かった」と増田医師。できる限り患者の負担を少なくしたいと導入を決めた。「今後も患者さんとコミュニケーションを取り、できるだけ身近な存在でいたい」と笑った。
眼科の診療時間は午前8時~同11時半、午後2時~同4時半。土曜休診。問い合わせは光生会病院(0532・61・3166)へ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。