東三河に生きる横田滋さんの願い

2020/06/08 00:00(公開)
2008年の講演会で滋さん㊧と早紀江さん㊨を迎えた八木代表
 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの父で、拉致被害者家族連絡会前代表の横田滋さんが5日、老衰で亡くなった。87歳だった。生前は講演会などで東三河にも足を運び、幅広い世代に拉致問題を知ってもらおうと活動した。
 2008(平成20)年、拉致問題の解決を訴える市民団体・ブルーリボン豊川(八木月子代表)主催の講演で、滋さんは妻の早紀江さんと豊川市を来訪した。活動を始めたばかりの八木代表は、今後の活動方針について助言を求めると、滋さんは「きょうの講演のことも、あす金正日(当時の北朝鮮最高指導者)に報告が行くでしょう。どんなに地方のことでも、それぐらい北朝鮮は日本の動きを見ています。我々はPRを続けてくれるだけでいいです」と話した。
 豊川市議も務める八木代表は「『日本国民、豊川市民に拉致問題を忘れないでほしい』が滋さんの遺言だと受け止めている」と話す。さっそく10日から7月末までJR豊川駅連絡通路でめぐみさんの写真展を開催する。
 また、豊橋市ではNPO法人全日本軟式野球協議会主催の社会人野球大会「横田めぐみ杯」が毎年開かれている。滋さんの講演に参加した同法人の守屋美喜雄理事が「野球だけをやっていればいいでは駄目。日本人の一人として考えるきっかけになれば」と、スポーツに励む若者にも拉致問題に意識を持たせようと立ち上げた。
 2014年11月には滋さんが豊橋市民球場で試合を見守り、表彰式では笑顔で選手たちと記念撮影に応じた。「野球が好きな人や若い人をはじめ、多くの方に関心を持ってほしいですね」。笑顔で振る舞っていたが、観客席の選手の妻や子どもを目にすると、寂しそうな表情で「めぐみちゃんもあそこにいたかもしれませんね」とこぼした。
 今年も横田めぐみ杯は11月14、15の両日に豊橋市内で開かれる予定だ。
(由本裕貴)
14年の横田めぐみ杯で、選手らと記念撮影に応じる滋さん㊥
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