豊橋駅東西自由連絡通路に「ストリートピアノ」

2020/07/08 00:01(公開)
匿名の男性から寄贈されたアップライトピアノ(市提供)
匿名の男性から寄贈されたアップライトピアノ(市提供)
 豊橋駅の東西自由連絡通路に、「ストリートピアノ」が15日、お目見えする。今年1月「誰もが気軽にピアノを弾ける環境にするため、駅に設置してほしい」の願いを込めて、ピアノが寄贈されていた。新型コロナウイルスで、さまざまなミュージックシーンも制約を受けている。行き交う人々が自由に奏でる音楽が、ウィズコロナの中で、人々の心に潤いをもたらすかもしれない。
 市によると、寄贈したのは市内の高齢男性。戦後、焼け野原になった街中を歩いていた際、歌声に耳を傾ける機会があった。ピアノの音は、心の底まで響き渡った。戦災で廃墟となった街が、再びにぎわうようになってほしいと願った。
 洋楽は「敵性音楽」と呼ばれ、弾圧されていた戦時中。それを知るからこそ、誰もが気軽にピアノが弾ける環境で、演奏を通じて人々が交流できる自由の価値が分かる。多くの人が行き交う豊橋駅にピアノを置いて、みんなに、自由に音楽を楽しんでほしい。寄贈にはそんな願いがある。
 男性は匿名を希望しており、詳細は公表されていない。
 贈られたのはアップライトピアノ「ヤマハYUS5」。市は男性の意向に沿って、東西自由通路に置くことにした。新幹線改札口東側の情報プラザ正面付近になる。
 市は15日午後4時、テープカットでピアノをお披露目する。東西通路は24時間出入りできるため、使用方法などを今後、取り決める。ウイルス感染拡大防止のため、演奏前と後に手指の消毒、立ち止まって聴く通行者には間隔を空けるよう呼び掛ける。
 海外の駅や空港では、見ず知らずの人同士がピアノを連弾し、列車を待つ人々が聴き入る姿がみられる。豊橋駅で、そんな光景が日常化するだろうか。
【安藤聡】
豊橋駅にストリートピアノを置いたイメージ(同)
豊橋駅にストリートピアノを置いたイメージ(同)
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