朝夕はいくらか凌ぎやすくなりました。政権与党の大事なリーダーを決める自民党総裁選挙日が近く、連日報道が過熱しています。7月の都知事選のようにならないよう節度のブレーキが効くことを望んでいます。昨今何を訴えたいのか分からないリーダーたちが多いですね。「天地神明に誓って」など古めかしく難しい言葉を使うより、いかにメッセージを聴衆の心に届けるかということが大事ではないでしょうか。ロマンチックなだけでは人の心には響かない。これは政治家だけでなく、誰にでも言えることだと思います。私も指導中は常に意識しています。
小泉純一郎元総理を数年前、講演会でお招きしました。イベント会社のマネジャーと二人きりで会場にお見えになった時は、あのライオンヘア。「どうも小泉です」といつものあいさつ。やっぱりオーラがありました。
驚いたのはマネジャーが引いて来たカゴキャリーです。東京駅で購入した新聞全紙を持っていたのです。まるで資源回収時の新聞紙の束みたいでした。
お聞きすると移動時はいつもで、ほぼ全紙に目を通していますとの返答でした。小泉さんは昔から大の読書家で、国会にいない時は国会図書館か近所の書店を探せと言われていたぐらいです。答弁に力強さや自信が表れているのはこの賜物と思います。
講演会が終わり、駅までお送りしました。首相当時はSPだけでなく書記官や多くの支持者に囲まれていましたが、この日は二人だけの新幹線移動。しかし帰路につく後ろ姿や背中の大きさはあの当時のまま。今では見当たらない、良い意味で政治を身近に感じさせてくれる方だったと思いました。
さて道場では今日も生徒と一緒になって、実力を養いながら活躍の機会を待ちます。花無心にして蝶を招くといいます。物が本物で魅力があれば、何も言わなくても多くの人が集まってくるものです。別に変人でなくても。そういえば小泉さんの口癖は『俺は変人ではなく常識人と思っている』でした。
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