「剣理人倫 我外皆師」⑦「夢中になれば心は清らかになる」

2024/10/04 20:00(公開)

 日中はまだ暑いですが、夜風にあたり虫の音を聞くと秋の訪れを感じます。今夏は世界で観測史上過去最高の暑い夏になったとの事ですが、怖いのは記録更新よりも驚かなくなっている自分がいることです。

 学校では新学期が始まりもう3週間がたちました。月日の流れは本当に早いです。「少年老い易く学成り難し」を肝に銘じて、無駄に過ごさないようにしたいですね。

 毎年この時期になるとジブリ作品のアニメーション映画「耳をすませば」を思い出します。夏から秋、冬へとめぐる季節の設定は今の時期と合致します。

 物語は図書貸し出しカードに頻繁に記してある人物を気にするところから始まります。残念ながら現在では(一部の)SNSによる過激化した相互監視でしょうか。夏休み明けの新学期に確固たる夢に向かって進んでいく天沢聖司と、目標のない自分を比べて劣等感を覚える主人公の月島雫。作品の感想は人それぞれですが、私自身心に残っているのは「いま・ここ」の場面に二人が果敢に挑戦し、完全燃焼するところです。

 主題歌カントリーロードの歌詞にも勇気をもらいます。私は常日頃から生徒には、やらなかった場合の後悔を考えさせています。もちろん挑戦や決断にはリスクがともなうし、その後うまくいく保証もありません。しかし、やらなければ成功しないし充実感も得られない。それにむなしく時を浪費するばかりです。

 将来あの時やっておけばなあ、と嘆くことより、一歩踏み出す勇気を持って実践してもらいたいです。剣道では退く、下がるということは禁物であり、いかなるときにも出るか、乗るか、さもなくば抜くかの道しかないのです。宮本武蔵「一寸の見切り」、柳生流「二寸のひらき」というのもこの精神です。

 覚悟を決めた時、展開が変わることを信じて、これからも剣道で鍛えた精神で心折れることなく志を貫いてほしいです。そんな生徒たちを地球屋の店主のように見守っていきたいです。西司朗と違ってまだ80歳ではないですが…。

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