【前編】「古見さんは、コミュ症です。」あす最終巻発売|担当編集者に見どころ聞く

2025/03/17 06:00(公開)
最終37巻の表紙 ⓒオダトモヒト/小学館

 蒲郡市出身で漫画家のオダトモヒトさんの大人気作品「古見さんは、コミュ症です。」が、1月29日に小学館発刊の週刊少年サンデー9号で最終回を迎え、9年間の連載に幕を下した。最終巻となる37巻が、今月18日に発売される。オダさんは「実に楽しい地獄でした。週刊連載は大変です。でも古見さんを描くのはずっと楽しかったです」と振り返った。

 

 オダさんは県立御津高校(現御津あおば高校)卒。東京工芸大学芸術学部マンガ学科に入学、在籍中に少年サンデーなどに作品を持ち込む。2012年「小学館新人コミック大賞」の大賞を受賞した。

 

 その後14年に「デジコン」の連載で本格デビューすると、ペンネームをオダトモヒトに変更し、読み切りだった「古見さんは、コミュ症です。」が好評だったことを受け16年に連載を開始した。

 

作品はコミュ症美少女コメディー

 

 同作は21年にアニメ化して大ヒットしたほか、同年には増田貴久さんや池田エライザさんが主演するドラマ化も果たす。22年には「第67回小学館漫画賞少年向け部門」を受賞し、国内外のシリーズ累計発行部数は1600万部を突破した。

 

 作品は、人付き合いがとても苦手だが友達が欲しい古見さんと、人の気持ちを察するのが得意な只野くんが出会い、少しずつ友達を増やしながら、高校生活と人間関係の広がりを描く「コミュ症美少女コメディー」。

 

㊤御津あおば高校の校舎一部を参考 ⓒオダトモヒト/小学館 ㊦実際に御津あおば高校の廊下

母校や地元八幡宮を参考

 

 古見さんら登場人物が通う高校は、母校の御津高校の教室や通路、階段など一部を参考にしている。また、本作に出てくる神社は蒲郡市五井町の八幡宮がモデルとなっている。

 

 1月29日に発売したサンデーでは表紙と巻頭カラーを飾った。最終巻は単行本限定のエピソードも収録している。

 

㊤参考にした地元蒲郡市五井町の八幡宮 ⓒオダトモヒト/小学館 ㊦実際の八幡宮

編集者吉本さん「一見接しやすいのに底が見えない作品」

 

 4代目編集者としてオダさんを支えてきたサンデー編集部の吉本有李さんは、連載を終えたことについて「5年間担当させていただきましたが、とにかく打ち合わせが楽しい作品でした。一見接しやすいのに底が見えない、そんな魅力があり続けた作品だと思います。僕にとっては『古見さん』のすごさに気付くと同時に自分の成長も感じるという、学びも多い作品でした」などと話した。

 

 最終巻の見どころは「非常に迷いましたが、やはり最終話(コミュ499)の古見さんのモノローグです。 古見さんが初めて心中を語る印象的なシーンですが、すごく普通のことを言っているのになんだか泣けてくるんです」と述べた。

 

 また、「人間が元来持っている『コミュニケーションへの恐怖』と、『それでも係わりたい気持ち』が丁寧に描かれた、これぞ古見さんの最終回という語りで…ぜひ、一人の時に力を抜いて読んで頂きたいなと思います。あと、見開きで描かれた『卒業アルバム』の寄せ書きも圧巻ですので、お楽しみに…!」とPRした。

 

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林大二朗

 愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。

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