【インタビュー】「古見さんは、コミュ症です。」作者のオダトモヒト先生の原点に迫る

2024/05/28 00:00(公開)
「古見さんは、コミュ症です。」 ⓒオダトモヒト/小学館

 漫画と小説は、国内はもちろん海外でも人気だ。東三河から多くの漫画家や作家が誕生し、作品がアニメ化などされ話題を集めている。本紙では多くの人物の中から、6人に注目。漫画家や作家を目指そうと思ったきっかけ、作品に対する思い、地元の思い出などを聞いた。全6回で連載する。初回は小学館の週刊少年サンデーで連載中の大人気漫画「古見さんは、コミュ症です。」作者で蒲郡市出身のオダトモヒトさん。

 

蒲郡出身の漫画家 オダトモヒトさん

 

 -漫画家になろうと思ったきっかけは。

 ◆読者の質問に作者が答えるコーナーを見て、漫画家という職業を意識し始めました。自分自身も絵を褒められた経験があったので、マンガ学科のある大学を選びました。

 

 -作品を各社に持ち込んだ際、酷評された事もあったと聞きました。

 ◆自信はなかったので、酷評された時も「そうか」と納得していました。ただ、サンデーに持ち込んだ時「すごく面白い。賞に出しましょう」と言って下さって、大賞を頂いたことで今につながりました。

 

㊧コミックス17巻などは母校の御津高を参考に ⓒオダトモヒト/小学館 ㊨参考にした校舎の一部=県立御津あおば高校で

母校・御津高など作中で登場

 

 -2014年のデビュー作『デジコン』において、学校のモデルを母校の御津高校にした理由を教えて下さい。

 ◆自分が通っていた学校なら、キャラクターがどう過ごしているのか、どう立っているのかイメージしやすく、描きやすいと思いました。

 

 -古見さんというキャラクターを思い付いたきっかけを教えて下さい。

 ◆元々古見さんは男性キャラとして考えており、コミュニケーションが苦手だけど弁論部の部長をしているという設定でした。しかし3代目の編集者に「面白くない」と言われ、女の子だったら面白いのではとひらめいたのがきっかけです。

 

 -ユニークなキャラクターがたくさん登場しますが、どう考えているのでしょうか。

 ◆キャラクターは計画的に作っている訳では無く、展開に応じてその都度考えます。古見さんについては、妻が人間関係について悩みがちな性格なので、描く上で参考にしています。

 

古見さんがいなかったら今の自分もいなかった

 

 -オダさんご自身はどのキャラクターに似ていると思いますか。

 ◆性格的には長名なじみというキャラクター(誰とでもなじみ、友達が非常に多いのが特徴)が近いけど、友達は少ないです(笑い)。

 

 -『古見さん』でも蒲郡や御津高校を参考にしていますか。

 ◆一部参考にしています。例えば本作に出てくる神社は五井町の八幡宮がモデルですし、古見さんが通う伊旦高校の教室や通路、階段などは御津高校を参考にしています。

 

 -作品や登場人物に対する思いを聞かせて下さい。

 ◆作品は終盤に向かっていますが、古見さんをキャラクターではなく、一人の人間として感謝しています。古見さんがいなかったら今の自分もいなかったと思います。

 

㊤蒲郡の神社も31巻などの作中で登場 ⓒオダトモヒト/小学館 ㊦モデルになった八幡宮=蒲郡市五井町で

国内外の人に愛されうれしい

 

 -累計部数が1400万部を越え、アニメ化もされるなど大人気作品になったことはどう感じますか。

 ◆ヒットしている実感はあまりありませんが、国内外の多くの人が読んでくださり、作品を愛してくれていることがうれしいです。

 

 -先日発売したばかりの最新33巻について教えてください。

 ◆32巻より面白くなっているのではないかなと思います!

 

 -初連載の2014年から今年で10年となりますが、今後の展望を聞かせてください。

 ◆もう10年も描いているんだとこの取材で初めて知りました。今は『古見さん』で頭がいっぱいですが、欲を言えば次の作品は古見さんよりさらにいろんな人に届く作品にしたいなと思います。

 

ふるさとの発展に驚き

 

 -最後に今の蒲郡に思うこと、母校に通う生徒に一言お願いします。

 ◆久々に蒲郡に帰ると、すごく発展していて驚きます。御津高校(現御津あおば高校)の皆さんも頑張ってください!

 

 -ありがとうございました。

 

オダさんのデビュー作「デジコン」は母校の図書室にも置いてある

オダトモヒト

 県立御津高校(現御津あおば高校)卒。東京工芸大学芸術学部マンガ学科に入学、在籍中に少年サンデーなどに漫画を持ち込む。2012年「小学館新人コミック大賞」の大賞を受賞。14年に小田智仁の名で御津高の校舎をモデルにした「デジコン」をサンデーに連載、本格デビュー。ペンネームをオダトモヒトに変更、読み切りだった「古見さんは、コミュ症です。」が好評だったことを受け、16年に連載開始。21年にアニメ、ドラマ化され、22年には第67回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。国内外合わせてシリーズ累計発行部数1400万部を達成した。コミックス33巻が発売中。

 

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林大二朗

 愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。

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