県文化財保護審議会は25日、鳳来寺硯(すずり)と呼ばれ、新城市内で制作される石硯(せきけん)の工芸技術と、生産者の名倉利幸さん(71)=雅号、五代名倉鳳山=を県無形文化財(工芸技術)に指定すると答申した。8月5日付で指定される。
鳳来寺参道で生産される石硯。江戸時代に成立したと伝わる。審議会は名倉さんを「当地で産出する天然石材を用いつつ、芸術性の高い作品づくりを展開している」と評価した。
名倉さんは1953年、旧鳳来町生まれ。県立旭岡高校美術科、東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業後、四代鳳山の父に師事。2003年に五代を襲名した。10年に市無形文化財「鳳来寺硯制作」の保持者として認定された。
作品は「造形要素に直線と曲線、曲面と平面を大胆に取り入れた独自のスタイルを構成。精神性を有する器ないし彫刻へと昇華させ、和硯に対して芸術的価値を付けることに貢献している」とした。
県は、23年11月30日に藤井聡太竜王・名人(当時)に県民栄誉賞を贈った際、記念品として名倉さんの鳳来寺硯を採用している。
自治体の無形文化財(工芸技術)は保持者個人と団体を指定している。
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浜松市出身。大学卒業後、母親の実家があった豊橋市に住む。スポーツを皮切りに、蒲郡市政担当15年を経て現在新城市と北設楽郡を担当する。映画ロケの炊き出しからご当地グルメとなった「ガマゴリうどん」など、まちぐるみで取り組む姿を取材するのが好き。
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