豊橋で映画「MINAMATA-ミナマタ」上映会

2022/05/10 00:00(公開)
ユージン・スミスの写真の前で語るアイリーンさん=汽水域で
ユージン・スミスの写真の前で語るアイリーンさん=汽水域で
 映画「MINAMATA-ミナマタ」の上映会が8日、豊橋市東小池町の文化サロン「汽水域」で開かれた。2部制で多くの人が鑑賞した。
 ジョニー・デップ製作、主演。熊本県水俣市で1971年から水俣病の取材を続けた米国の写真家、ユージン・スミス(1918~78年)と、妻アイリーン・美緒子・スミスさんが主人公。
 水俣病患者とその家族が、病気の原因となったチッソ工場と闘う姿を撮影する。住民同士の争い、工場の裏工作の中で、襲われて大けがをするユージン。そして一連の写真群の中でも最高傑作とされる「入浴する智子と母(Tomoko and Mother in the Bath)」を撮影する様子、裁判での勝訴までを描く。115分。最後には水俣病以外の世界の公害被害が紹介される社会派ノンフィクションだ。ユージンとアイリーンさんによる写真の数々が展示された会場では、来場者が声もなく映画を見つめた。
 上映後は、アイリーンさんのトークと質疑応答があった。映画は1975年に出版された写真集「MINAMATA」が原作。過去にも2回、映画化の話があったがいずれも流れた。しかし、今回送られてきたシナリオを元にジョニー・デップが製作、主演するということになり、実現を確信したという。アイリーンさんは、ユージンのジャーナリスト魂と冗談ばかり言っていたというキャラクターを紹介。そして「自分たちのストーリーを、正しく伝えてくれるのかという不安はあった。でもすべてを手放すことで、作った人、演じた人、見た人がそれぞれの心に残ったものがある。映画を完成させたのはみなさんだ」と話した。
【山田一晶】
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