「幻の少女漫画家」鈴原研一郎の原画など寄贈

2022/05/19 00:00(公開)
鈴原研一郎さんの表紙絵の原画と掲載誌
豊橋市中央図書館へ遺族が686点

 1970年代まで少女誌などで活躍した豊橋ゆかりの漫画家で、2008年に亡くなった鈴原研一郎(本名・鈴木俊之)さんの原画などが、遺族から豊橋市中央図書館に寄贈された。37歳で執筆をやめており、資料や情報も乏しいため愛好者の間では「幻の漫画家」と評された。秋には一般公開も予定している。
 40年に中国大連に生まれ、戦後は両親のふるさとの杉山町で育った。16歳で漫画家デビュー、50年代後半から貸本作家として少女漫画も手掛け、60年代後半から少女漫画誌で活躍。「週刊マーガレット」(集英社)に連載した代表作「レモンの年頃(エイジ)」など多くの作品を発表した。
 未婚だったため資料は弟の道生さん(故人)が保管し、死後、甥から市へ贈られた。原画や原稿など686点がある。漫画誌の表紙は掲載誌と原画を一緒に見られる。
 憧れだった手塚治虫さんにちなむ資料も豊富だ。手塚治虫さんの初期作品(赤本)や「鉄腕アトム」の初版本など。手塚さんから届いた年賀状とともに貴重な資料という。
 約20年の活動期間で230冊以上の作品を残したが、代表作のほかは知名度が低く、寄贈資料には未解明のものも多いという。「鈴原令子」などペンネームを変えた時期も資料から分かった。今後は大学研究者らと検証して漫画史解明にもつなげたい考えだ。
 中央図書館の岩瀬彰利主幹学芸員によると「72年頃の週刊マーガレットを見ると、池田理代子さんの『ベルサイユのばら』より上位に置かれ、鈴原さんの業界での地位が分かる」と説明する。
 現在、一部資料のみ中央図書館で6月22日まで展示している。
【加藤広宣】
赤本や貸本時代の作品も多数ある
手塚治虫さんから送られた年賀状
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