豊橋の大栄製作所 「酸素ファイター」活用
豊橋市雲谷町の「大栄製作所」は、設計製造している河川湖沼浄化などに活用できる高濃度気体溶解装置「酸素ファイター」を使い、ベトナムで水質浄化の調査をしている。ベトナムの関係者がこのほど、豊橋市を訪れ浅井由崇市長を表敬した。
JICAの「中小企業・SDGs・ビジネス支援事業」の案件化調査に採択された。ベトナム中部のフーエン省ソンカウ町のスワンダイ湾が調査舞台。
この湾は伊勢エビが養殖されているが、水質汚染のために酸素が少なくなり、大量死が起きた。対策が必要だという。
酸素ファイターは、水に酸素を溶かすことで、微生物を活性化させる。微生物の力を活用して、底にたまったヘドロを分解し、悪臭などを改善する。今年5~9月に稼働し、ヘドロの海底が砂地に変わるなど、改善の兆候が見られた。
同省の人民委員会副委員長のホー・チー・グエン・タオさん、天然資源環境局長のダン・ゴッ・アインさん、ソンカウ町長のドー・タイ・フォンさんが今月1~5日の日程で来日。2日は豊橋市役所で浅井市長と歓談した。
タオさんは「フーエン省の発展のために、水質浄化に取り組んでいただき、感謝しています。今回の調査はフェーズ1。フェーズ2へと進めるため、協力を」と述べた。浅井市長は「酸素ファイターは各地で導入されている素晴らしい技術。ベトナムでの取り組みは非常に意味がある」と話した。
また一行は同社が酸素ファイターを設置している東京の河川や水族館、兵庫の伊勢エビ養殖場などを視察した。
同社の担当者の伊藤紀仁さんは「私たちの技術でベトナムの力になりたい。次のフェーズの普及実証事業に採択されるよう頑張りたい」と話していた。
【竹下貴信】
現地に設置された酸素ファイター(提供)
スワンダイ湾に酸素を溶かした水を送るホース(同)