豊川市内を走る豊鉄バスの一部路線で、国の補助金を受けられる水準のギリギリまで乗客数が落ち込んでいる。万が一、補助金が打ち切られれば、運行に影響が出る可能性が高い。
市内を走る同社の路線は、新豊線(豊橋駅前-新城富永)、豊川駅前線(豊橋駅前-豊川駅前)、豊川市民病院豊川駅前線(豊橋駅前-豊川市民病院~豊川駅前)、豊川市民病院線(豊橋駅前-豊川市民病院)の4路線がある。走行区間は重複している。
特に厳しいのが豊川駅前線と豊川市民病院線。運賃収入や路線距離などに基づき出される基準値が15を2年連続で下回ると補助金が出なくなる。2022年度(21年10月~22年9月)の数値は、豊川駅前線は15・3、豊川市民病院線は15・1だった。一方で新豊線は27・0、豊川市民病院豊川駅前線は34・8と余裕がある。
乗客減少の原因の一つは新型コロナウイルス禍。コロナ前の19年度は、豊川駅前線は18・4、豊川市民病院線は24・3とわずかだが余裕があった。コロナ後、乗客が回復するかは不透明だ。
4路線の運行に関わる費用は、21年度は1億6556万円だった。うち国補助額は3196万円(19%)、県補助額は2436万円(15%)になる。基準を下回れば、国だけでなく県の補助もなくなる。全体の3割以上の費用が国と県の補助になっているため、これがなくなると運行に支障が出る可能性がある。
路線バスに接続するコミュニティーバスへも国の補助金が出ている。路線バスの補助金がなくなると、同時にコミュニティーバスもなくなる。豊川には10路線あり、運行費用は21年度で1億2800万円だった。うち1324万円が国の補助金。おおむね1路線分の運行費用にあたり、なくなれば影響は大きい。
コミュニティーバスについては、現状では新豊線などが補助基準の下限までに余裕があり、今すぐ運行に支障が出る心配はない。
市と豊鉄バスは利用者増を狙い、今年3月にオープン予定のイオンモール豊川まで路線を延ばす。路線が重複しているため、路線を見直して対応する手もある。
豊川以外の東三河のバス路線でも厳しい状況に追い込まれているケースがあるという。
担当の豊川市人権交通防犯課は「今後、団塊の世代が免許を返納する時期が来る。バス路線は、今まで以上に重要になる」とし、「さまざまな方法で利用促進をしていく」と話す。
【竹下貴信】