「剣理人倫 我外皆師」⑫「見ならう手本は常に身近にある」

2024/10/27 06:00(公開)

 ええじゃないか豊橋まつりも終わり、これから秋が一層深まっていきます。「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」と古今和歌集にありますが、ここ数年は猛暑に耐え抜いた安堵(あんど)で余裕もなく、小さな気配から秋が近いことを悟る感性がないです。まだまだ修行が…。そして来月7日はもう立冬です。紅葉や秋の味覚を楽しみながら秋の夜長に読書をたしなみたいです。

 先週うれしいことがありました。この地域では知らない人はいない、美しすぎるMC・ラジオパーソナリティとちまたで言われている土井典子さんが、やしの実FMの取材で道場にお越しくださいました。生徒全員にインタビューしてくれて、緊張しながらもみんな大喜びでした。いつから剣道をはじめたのか、はじめたきっかけ、夢や目標などの質問に元気よく答えていました。

 こういう機会はあまりないので、私にとっても生徒たちにとっても貴重な経験でした。当日土井さんは一日中他の競技の取材だったので声も少しかれて大変そうでしたが、明るく笑顔で長時間頑張っていました。生徒たちは一生懸命な土井さんを見て何かを学んだと思います。私もプロフェッショナルの方に接することで勉強になりました。放送が楽しみですが、私の悪口を言っていないことを祈ります。

 この新聞寄稿の題字の基である「剣の理は人倫の大体なり」と吉川英治さんがよく色紙に揮毫された「我以外皆我師也」のとおり、自分以外の人やモノは自分の足らざるを教えてくれる。その謙虚な心持ちで生活することで人はより磨かれていくという教えが今回の取材から体得できたと思います。吉川英治さんは大変な勉強家で、友人の前で言葉遣いの間違いを指摘されたのを機に百科事典を手元において猛勉強したといいます。私も学んだことが小手先だけの底の浅いものにならないように、これからも生徒たちと剣道を通して人間性を磨いていきたいです。読書の秋ですが、本棚にある未読本が「なかなか読まないね」と語りかけているような気がします。

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