「嵩山 蛇連祭(じゃれんさい)」が5日、豊橋市嵩山町の白土社の廻り舞台前で開かれた。半世紀以上閉まっていた大扉が開き、多くの人がパフォーマンスを楽しんだ。また、昭和初期に作られた小道具の書き込みから、不明だった舞台の名前が「蛇穴座」だったことが発表された。
「白土社の廻り舞台を回す会」の主催。東愛知新聞社など後援。
廻り舞台は、歌舞伎で舞台の中央を丸く切り抜いて回転させる装置。江戸中期に歌舞伎用に発明され、江戸末期から明治期に各地の神社境内に廻り舞台が造られた。祭礼で旅芸人が芝居をしていたらしい。境内が客席となる。豊橋市には牟呂八幡宮にもあったが倉庫代わりに使われ、2017年2月に焼失した。
白土社では1894(明治27)年頃に建てられた。昨春発足した回す会が、芝居小屋の整備と調査をする中で鶴と松を描いた書割(かきわり)などを発見した。中にあった木材やごみは片付けられ、舞台上の円形の構造物が見えるようになっている。破損している部分もあり、修復して回すには費用も時間もかかる。復活には多くの支援が必要だ。
この日は、石巻地区の空手「志清會」の演武で開幕。途中から桜丘高校和太鼓部「桜花太鼓」が競演し、続いて4曲を演奏した。さらに当地の社会人劇団「陽炎座」による芝居があった。
午後1時半、回す会代表の松田弥生さんが、嵩山の魅力と会を発足させた経緯を説明し「地域の人にも嵩山の宝物を見てもらいたかった。来年も続けたい」と述べた。トロンボーンアンサンブル「響人」のファンファーレと観客のカウントダウンで子どもたちが舞台奥の紅白の幕につけられたひもを引くと、6枚の鶴と松の書割が姿を見せた。
その後もブラジル武術「エスコーラ・イナエ・カポエイラ」の実演や「馬喰町バンド」の公演があった。
松田さんは「昔の人たちが芝居を楽しんでいた雰囲気がみんなに伝わったと思う」と話した。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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