「奥三河ハタラク図鑑」ライターの白井美里です。現在、東栄町に移住して6年目です。今回は私が移住したきっかけと、奥三河の魅力についてお話しします。
私は大学卒業後8年間、障害福祉の仕事に携わり、結婚して2人の子どもに恵まれました。家族が増えた幸福を感じる一方、共働きで仕事のスケジュールの違いから、家族全員がそろって休める日が月に2〜3日しか取れませんでした。
仕事と子育てに追われる日々の中で、家族で共に過ごせる時間を増やしたいという思いが強くなっていきました。やりがいのある仕事と理解ある職場でしたが、「転職」の2文字が頭に浮かび悩む日々。その中で、「どうせ転職をするなら、今までしてみたかったことをしたい」という考えから、自然豊かな環境での子育てや、食べ物や身の回りのものを自分たちで作る暮らしに興味を持ち始めました。
夫婦で「いつかこんな暮らしがしたいね」と話していた田舎暮らしが、現実的な選択肢として視野に入ってきました。どこで暮らそうか考えた時、奥三河、特に東栄町を移住先に選んだことにも理由があります。
まず、西尾市出身の私と豊橋市出身の夫にとって、両親に孫の顔を見せやすい距離が理想的であること。また、キャンプ場のような場所であり、森や川に囲まれた愛知の里山で子どもが川で遊べたり、夫が興味のあった狩猟も行えたりする生活ができること。
さらに、子どもの学習環境を考えてクラスが成り立つ児童数がいること。
加えて進学や子どもが自ら活動範囲を広げることを考えた時、電車が通っている方が行動範囲を広げやすいと考えました。ポイントを考慮した上で、東栄町が有力な候補として上がりました。
実際に空き家見学で訪れた東栄町では、役場や町の人々のウエルカムな雰囲気に安心感を覚えました。2回目の空き家訪問で理想的な物件に出合い、家族で暮らしを楽しむ未来のイメージが一気に膨らみました。「ここで暮らしたい!」と気持ちが高まったのを覚えています。
そしてご紹介いただいた空き家近くの地域の方々からも「子どもがいるとにぎやかになるね」と快く受け入れていただきました。出会う皆さんのあたたかさに背中を押され、移住を決意しました。振り返ってみると、トントン拍子に話が進み、何かに導かれるようでした。
移住から6年がたった今、私たち家族は周囲に支えられながら、自然と共生する暮らしを満喫しています。山菜採り、みそ作り、梅干し作り、養鶏、キノコ栽培、栗拾い、畑仕事、田んぼ作業、さらには狩猟まで、自分たちで作って楽しむことを子どもたちに伝えながら日々を過ごしています。
また、夫婦で子どもたちが自然の中で学ぶ姿に大きな喜びを感じています。山を歩けば「ママ、これ食べられるんだよね」と山菜を見分けることができます。サラリーマン家庭で山菜の一つも知らずに育った私と違い、子どもの頃から暮らしの中で自然に学べる環境があることの幸せを実感しています。
私たち家族にとって、奥三河への移住は幸運の一歩だったと感じます。以前は限られていた家族で過ごす時間が、大幅に増えました。
また、四季折々の自然の恵みを直接体験し、楽しむことができます。
自分たちで作った食材を使うことで、食の安全と豊かさを感じることができます。自然の中で遊び、学ぶことで、子どもたちの感性や知識が豊かに育っています。温かい地域の人々との交流が、新しい暮らしを支えています。
私たち家族の奥三河への移住は、都市部での忙しい生活から、自然と共に生き、家族の時間を大切にする新しい生活スタイルへのきっかけとなりました。
仕事と子育ての両立に悩んでいた日々から、今では自然の恵みを享受しながら、子どもたちと共に学び、成長する日々を送っています。
奥三河での暮らしは、私たち家族にとって単なる移住先ではなく、理想の生活を実現する場所となりました。自然豊かな環境で、家族の絆を深め、地域とのつながりを大切にしながら、一日一日の暮らしを積み重ねていくことができています。
私たちの移住ストーリーが、新たな暮らし方を模索している人々にとって、何かのヒントになれば幸いです。
しらい・みさと
西尾市出身、35歳。現在、「言ノ葉工房」の屋号で、ライター、クリエーティブディレクター、採用代行をしている。文章制作やコンテンツの企画を中心に活躍中。趣味は温泉めぐり。
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