ボランティアガイド高齢化で後継者探し急務
豊川市きっての観光の名所「豊川稲荷」を案内するボランティアガイドが存続の危機に陥っている。理由は高齢化。今後、法堂の落慶法要、御開帳などの大きな行事が続く予定で、観光協会では後継者を探している。
豊川市には「観光ボランティアガイドの会」がある。豊川稲荷を担当しているのは5人だが、実質稼働しているのは3人という。80代の女性2人と60代後半の男性が1人。後継者が入らずに女性2人が引退すると、男性1人で活動することになり厳しい状況に追い込まれる。
豊川稲荷のガイドは2000年頃に発足した。当時は15人ほどいて、総門付近に待機し、参拝客から依頼があれば案内をしていた。歴史をはじめ、建物や彫刻、キツネの石像が並ぶ「霊狐塚」などの魅力を丁寧に解説する。現在は新型コロナウイルス禍や人数減で予約制になっている。コロナ前の2018年度は約6000人が利用した。
説明の内容は興味深くて深い。本堂へと続く参道にある鳥居はかつて東海道にあった「遥拝所」から移設したこと、有名な信者に大岡越前がいて、東京別院は大岡家の江戸屋敷内にあった屋敷稲荷がルーツになっていることなどを説明する。
さらに本堂にある霊獣の彫刻の数々、1536年に今川義元が寄進した稲荷内で最も古い建物の「山門」、1枚ケヤキ板を使った総門の扉、霊狐塚にキツネ像を奉納するための費用など、さまざまなことを教えてくれる。
ガイドの一人、松岡節子さん(83)=東豊町=は「後継者がなかなかいないのが現状。全国から訪れる参拝客と触れ合えて、地域の歴史を知ることができる魅力的なボランティアだと思うのですが」と話す。
稲荷では、2024年に法堂の落慶法要、26年に小開帳、30年に御開帳が計画されている。大勢の参拝客が訪れる可能性が高く、ガイドが活躍できる場面は増える。
観光協会は「参拝客の皆さんに、より深く豊川稲荷を知ってもらうためにガイドは欠かせない」と認識している。「さまざまな場面で募集していく」と話す。ガイドになりたい人は市観光案内所(0533・89・2411)へ。
【竹下貴信】
豊川きっての観光名所「豊川稲荷」
「ガイドの仲間を増やしたい」と松岡さん