イチローさん大リーグ殿堂入り 東三河からも祝福の声

2025/01/23 00:00(公開)
イチロー杯後の石川さん㊨とイチローさん(提供)

 米国野球殿堂は21日(日本時間22日)、今年の殿堂入りメンバーを発表し、マリナーズやヤンキースなどで大リーグ通算3089安打を記録したイチローさん(51)が選出された。アジア人の殿堂入りは初めて。東三河からも喜びの声が寄せられた。

 

観察眼と人間性に感服|愛工大名電高の先輩・石川さん

 

 愛工大名電高校で1年先輩の石川卓さん(52)=豊川市大崎町=は「本当に野球界の頂点に上り詰めてしまった。すごいという言葉では言い表せない」と話す。

イチローさんのサインボールを見つめる石川さん

■絶大な安心感「彼なら絶対打ってくれる」

 

 初めて見たのはイチローさんが中学3年の時。打撃練習で「バットコントロールが篠塚和典さん(元巨人)のようにしなやかで衝撃を受けた」と回想する。1年春からベンチ入りし、秋からは3番左翼が定位置となった。「彼なら絶対に打ってくれる安心感があった」。試合に負けると左翼から右翼までの罰走が命じられるが、「いつも好機でイチローが打ってくれて、僕らを救ってくれた」と笑う。

 

 お茶目な一面もあった。上下関係に厳しい先輩もいるなか、穏やかな性格の石川さんは同じ外野手としてよく交流していた。「個人練習の時に『田尾安志(元中日)や掛布雅之(元阪神)の真似して』と頼むと、その構えで打ってくれて、仲間と大爆笑していた。観察眼があり、すぐ自分のものにできるのがすごい」と振り返る。

 

■変わらない笑顔で再会に「感動した」

 

 高校卒業後、石川さんは野球を引退し、豊川市内で会社勤めをしている。海を渡ってメジャーで活躍するイチローさんをテレビやスポーツ紙で見るたびに「仕事でつらいことがあっても、奮い立たされた」という。2006年12月にイチローさんの故郷の富山町で開かれた「イチロー杯」に知人に誘われて行った。すると、イチローさんと対面が実現し、サインまでしてくれた。「雲の上の存在になっても、変わらない笑顔で『石川さん』と名前を覚えてくれたのが感動した」と話す。イチローさんの今後について、「常に想像以上のことを成し遂げてきた。これからも野球界に関わっていくと思うので楽しみ」と期待した。

イチローさんと石川さん

大活躍を天国に報告|三輪田スカウトの友人・田辺さん

 

 「三輪田も喜んでくれている」と話すのは、豊橋市の田辺憲一さん(78)。「三輪田」とは投手だったイチロー選手の打撃センスをいち早く見い出したオリックススカウトだった故三輪田勝利さん。1998年に53歳で亡くなった。

三輪田さんの一周忌。後方左端が田辺さん(同)

■「3年後に首位打者に」と予言した夜

 

 田辺さんと三輪田さんは早稲田大の同級生。卒業後も交流は続き、三輪田さんがスカウト時代には、豊橋商業監督を務めていた田辺さんの自宅に泊まりに来ては、有力選手の情報収集していた。

 

 田辺さんは今も鮮明に覚えている言葉がある。91年11月、イチローさんの契約を終えた三輪田さんに「今晩飲もう」と呼び出され、タクシーのなかで言われた。「3年後に首位打者になるぞ」。田辺さんは「さすがに無理だよ」と返すと、「そうか。5年後に首位打者だな」と言い直した。

 

 現実に入団3年目の94年には首位打者に。その年に電話をかけると三輪田さんは「覚えていたか」と笑っていた。

 

■「三輪田は何て言うかな」

 

 三輪田さんの1周忌で田辺さんはイチローさんの父宣之さんに「ドラフトで打者を薦めていたオリックスがくじを当てた時はお通夜でしたよ。うちは投手希望でしたから」と言われたという。「三輪田さんへの感謝を表したリップサービスだな」と受け取った。今回の快挙に「イチローさんの活躍を見たら大打者に導いた三輪田は何て言うかな」と目を潤ませていた。

 

三輪田さんとの思い出を語る田辺さん

大村知事もコメント

 

 イチローさんの米野球殿堂入りを受けて、大村秀章知事は22日、コメントを発表した。

    ◇

 イチローさん、日本人初となるアメリカ野球殿堂入り、大変うれしく思います。日本の野球殿堂入りに続く栄誉を愛知県民の皆さまとともに心から祝福します。

 

 2004年に達成されたシーズン最多安打262本の大記録は、大リーグ史に今も輝く金字塔であり、卓越した打撃・走塁技術や華麗な守備などの全てで世界中の野球ファンを魅了しました。イチローさんは記録と記憶に残るスーパースターです。

 

 現在も母校の愛工大名電高校野球部をはじめ、後進の指導に情熱を注がれ、野球界のさらなる発展に貢献されていることに深く敬意を表します。

 

 これからのイチローさんのさらなるご活躍を期待しています。

 

 本当におめでとうございました。

 

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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