天然ウナギの調査成果などを展示

2023/05/21 00:00(公開)
モニタリング調査で用いた石倉かご=豊橋市自然史博物館で
 天然ウナギの保護や再生を目的に、豊橋市の汐川干潟で昨年度まで続いたモニタリング調査の成果などを披露する展示会が20日、市自然史博物館で始まった。調査成果をまとめたパネルや個体の保護や餌場として設置した「石倉かご」などを展示している。6月25日まで。
 市や豊橋養鰻組合などが立ち上げた「天然うなぎ資源保護再生プロジェクト協議会」が、杉山町の河口水門付近で2020年から3年間のモニタリングを始めた。調査と並行して地元の市立章南中学校と環境学習でも連携した。
 モニタリング期間には年2回、石倉かごで捕獲したニホンウナギや水生生物を調査。ウナギの個体には追跡可能な目印を付け、6回の定点観測で定着し続ける個体があることもわかった。
 ほか、川に生息することが多い銀ウナギも確認された。生態や行動様式などのデータが少ない種だが、メンバーらの調査で「銀ウナギになって1カ月は干潟域に生息したとみられる。淡水から海水の塩分に慣れる期間に干潟で暮らした可能性が高い」などとした。
 協議会での調査は昨年度までだが、プロジェクトメンバーらは、笹川平和財団や県養鰻漁業者協会の助成金で今年度もモニタリングを継続。石倉かごを2基に増やし、さらなる個体数増加につなげたいという。章南中のほか、今年度から人間環境大学(岡崎市)の学生らも調査に加わる。
 プロジェクトで調査に携わった丸崎敏夫さん(海みらい研究所代表)は「3年間でウナギの定着も確認できた。石倉かごは捕食者の野鳥から身を守る優れた隠れ家。えさの多い干潟ではウナギにとっての楽園にもなる。将来は資源となるシラスウナギの保護や再生にも貢献できたら」などと期待した。
【加藤広宣】
ウナギの稚魚に興味を示す子どもら
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