豊橋・吉田城跡「南多門」の石垣を調査

2023/06/17 00:01(公開)
吉田城跡「南多門」の石垣発掘調査(いずれも提供)
 豊橋市文化財センターは15日、豊橋公園の吉田城跡「南多門」の石垣修復に伴う発掘調査を始めたと発表した。崩落前の石垣を4回にわたり解体し、発掘調査のうえで積み直す。本丸の南正面入り口に築かれた大規模な石垣で、調査は11月上旬、工事は3月中旬までかかる見通し。
 南多門の土台となる大規模な石垣で、東西6・5㍍、南北18・7㍍、高さ4・5㍍にもなる。積み石は露出部分の1辺が1・1㍍ある。棒状に差し込む状態で積み上げたとも考えられ、大きさは解体しないと分からないという。
 今回修復する石垣は天井部に生えた松が根を張り、崩落の危険性が指摘されている。石材に隙間ができ、積んだ石が押し出されて表面が膨らむ「はらみ石」が目立つという。
 工事に伴う発掘は13日に始まった。石垣の高さ1㍍単位で解体と調査を進め、松などは除去する。城郭建築の検証とともに、木々が石垣に及ぼす影響も調べる。
 センターは石垣の経年劣化に伴う崩落の危険性を踏まえ、2020年度から計画的な修復工事に乗り出した。併せて城跡の128カ所で石垣の状態を可視化したカルテも作り、来訪者の動線などを踏まえた危険度の順位付けもした。
 中学永学芸員は「江戸初期かそれ以前かは石垣の積み方を検証したうえで判断する。城跡の主要動線なのでいち早く修復して安心して見学してもらいたい」と話す。
 本丸広場や黒鉄櫓(くろがねやぐら)へは三の丸会館のある東側の門から入れる。
【加藤広宣】
すき間などが目立つ修復前
今回の修復と発掘調査ポイント
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