豊橋で「TOKIO」元メンバーの山口さん講演

アルコール依存や立ち直り支援語る

　アイドルグループ「ＴＯＫＩＯ」の元メンバーで、現在は依存症支援などの活動を続ける山口達也さんが16日、豊橋市の「穂の国とよはし芸術劇場プラット」で講演した。
　医療法人岩屋会「岩屋病院」の90周年の企画。うつ病や認知症などのほか、アルコールや薬物の依存症治療に力を入れている病院だ。
　講演のタイトルは「当事者として生きる」。山口さんは１９９４年芸能界デビュー。幅広く活躍していたが、不祥事により２０１８年に引退。20年９月、バイクで飲酒運転事故を起こし、現行犯逮捕された。10年以上にわたり、アルコール依存症だったという。
　講演で山口さんは、笑いを交えながら自身と酒の歴史を振り返った。「飲むのは楽しかったし、酒が飲める自分がかっこいいと思っていた」。それが11年頃から飲み方が変わっていく。「以前は交友関係を広げたり、場を楽しませたりするのに酒を利用していた。でも、仕事の不安を抑えるために酒を使用するようになっていった」という。遅刻し、酔って仕事に来ても「酒好きだから」と許されていた。
　そして飲酒運転事故。その日の記憶は三つしかないと語った。衝突した相手の車のバンパー、パトカー内の天井、そして取調室の警察官。午前８時すぎ、なぜそこをバイクで走っていたのかも覚えていなかった。「記憶がないから反省もできなかった」と語る。これが「底つき体験」で、自身を見つめ直すきっかけとなった。
　そして「誘惑に負けて飲んでしまうのが駄目なんじゃない。諦めてしまうことが駄目なんです。支える人はたくさんいる。一緒につながりましょう」と会場に呼び掛けた。
　その後はＮＰＯ法人「三河ダルク」代表の松浦良昭さん、岩屋病院の小林朝隆院長が、依存症からの立ち直りや支援について話し合った。
【山田一晶】