「剣理人倫 我外皆師」⑬「武士道精神ここにあり」

2024/11/09 18:00(公開)

 もう11月。カレンダーも残り2枚となりセンチメンタルな気分になります。歳月ばかりが嫌になるほどの確かさで通り過ぎていきますね。街ではクリスマスを中心とした光のイルミネーションが、公私とも忙しい時期をほっこりさせてくれます。

 回顧はまだ早いですが今年は元日に能登半島地震が起こり、その後も全国各地で自然災害に苦しんだ年でした。9月には地震の復興途上の地に豪雨被害がありました。そして闇バイトなどの強盗詐欺事件も増える一方です。

 先日自衛隊OBの方とお話しする機会があり、過去の災害地での騒然とした模様を聞きました。一例として昭和60年8月12日の日本航空123便墜落事故。自衛隊をはじめ地元の警察や消防、医療関係者など多くの方が全力を尽くして救難作業を行いました。

 聞いた話ですと救助の際、最初から新しい毛布を使っていたが、自衛隊の毛布は地味な色合いなので「古いのを使っている」と言われて少しでも明るい色の毛布を使ったり、報道関係のヘリが上空でずっと旋回していて砂塵を巻き上げ、作業効率が悪かったとの事です。

 なかには老齢で御巣鷹山に登れない遺族の自宅に「これは御巣鷹山の石です」と売りに来た人がいたそうです。人間は究極の状態になると善と悪、美と醜がはっきり見えてくるし、その人の心根がわかると言います。

 一方で常日頃の鍛錬が発揮されるのもこの時です。だから自衛官は常在戦場の心構えで、平時は有事と思って訓練し有事の際は平時のように取り組みます。剣道でも稽古は試合を、試合は稽古のようにと心がけます。私が日頃から教育訓練された組織は強いですね、と話したら「真の実力は結果なんです。多くの訓練を積んでも負けたり失敗すれば厳しい叱責を受けます。国民の皆さんが評価するのは過程でなく結果なんです」と強く言われた時は、背筋が伸びる思いでした。どのような事例にも当てはまると思います。

 武士道の定義は難しいですが、仕事や日常生活において守るべき道と考え、恥じない行動をしていきたいです。

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