体つるして歩行リハビリ

2024/02/25 00:00(公開)
ハーネスを取り付け、歩くリハビリをする男性=豊川市伊奈町で
豊川のデイサービス「ぬくもりとんぼ」

 天井からロープで体をつるし、水中運動のような状況をつくり、歩行や立ち上がる動作のリハビリができる設備「スペースワンダー」が豊川市伊奈町のデイサービス「ぬくもりとんぼ」に導入されている。県内では唯一で、転倒リスクの劇的な低減や利用者の日常生活への迅速な復帰につながっているという。
 体にハーネス(安全帯)を取り付け、天井からつるされる状態でリハビリする。従来の手すりにつかまりながらの歩行リハビリとは異なり、転倒しても体を床に打ち付けることはない。恐怖を感じることなく、水中にいるような感覚。健常者と同様に手を振って歩けるので、体のバランス、重心の移動、関節の可動域、姿勢の管理など、歩く際に必要なことに集中できる。東京都立大学との共同研究で運動効果の実証も続いている。
 利用者の女性は入所時は自宅2階に自力で上がれない状態だったが、スペースワンダーを利用した結果、現在は階段を自らの足で上がることができるようになった。生活の範囲が劇的に広がっているという。
 また89歳の男性は、ひざの手術をした後のリハビリ中。「転んでしまう怖さがないので安心して歩けます。座った状態から立ち上がるのも補助してくれる。ゴムが伸縮するのが楽しいという一面もあります」と笑顔で話す。
 「ぬくもりとんぼ」の山本統一理事長は「転倒リスクがないのが利用者にとっても運営者側にとってもうれしい。利用者は転倒を怖がらず、本来の体の動きに近いリハビリができるので回復も早いのではないか。手術を終えた人、転んでしまった人、一人でも多くの人に利用いただきたい」と話す。
 問い合わせは「ぬくもりとんぼ」(0533・73・2818)へ。
【本紙客員編集委員・関健一郎】
ぬくもりとんぼの外観
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