豊橋市の豊橋公園での多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備事業の継続を望む市民団体「新アリーナを求める会」の川西裕康共同代表(67)が9日、市議会の伊藤篤哉議長に早期の住民投票を求める要望書を提出した。
要望書には住民投票を求めることになった理由として、契約解除を掲げる長坂尚登市長による工事中断の遅延損害や計画中止に伴う損害賠償負担▽議会採択された「継続を求める請願」に市長が応えていない▽市と議会賛成派の対立や市政停滞の長期化▽大災害への防災拠点整備の遅れ▽「三遠ネオフェニックス」の去就への影響―を挙げた。
速やかな住民投票を実施させるため、より多くの市民参加や経費節減が可能となる参院選(7月公示予定)との同日投票を要望した。さらに事業計画について市民の正しい判断を可能にするため、市側の情報提供を要請してほしいとつけ加えた。
川西共同代表は伊藤議長と近藤修司副議長を訪ね、要望内容を読み上げたうえで書面を手渡した。市議会は同日中に全市議へ要望内容を通知した。
新アリーナ事業を巡っては、昨年11月に当選した長坂市長が事業者「豊橋ネクストパーク」に契約解除へ向けた協議を申し入れた。現在は関連工事が停止してから約半年がたち、遅延損害も積み重なっているという。
川西共同代表は「昨年12月議会で13万4000超の請願署名を採択した後も、長坂市長は継続を求める民意には応じてくれなかった。その後も議会に期待したが平行線のままだ。間接民主制の趣旨を踏まえると住民投票は不本意だが最後の手段」と経緯を話した。
伊藤議長は「問題決着に至らないまま、遅延損害の市民負担は増え続けている。議会と市の対立も含め重く受け止めた」と述べた。
新アリーナ事業を巡る住民投票条例制定について、計画反対の市民らが過去2回直接請求したが、議会が否決した。昨年12月定例会では賛否両会派が関連条例案を提出したが、自民などが「有権者の判断材料となる情報が乏しい」として撤回した。そのうえで反対派案も否決、立ち消えになっていた。
長坂市長は以前から、新アリーナ関連事業を巡る住民投票について「仮に実施されればその結果を尊重する趣旨の発言をしている。今回の要望を受けて住民投票が実施されたときの対応についても「過去の議会答弁通り」とするコメントを発表した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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