【連載】「剣理人倫 我外皆師」〈50〉「今後も“この日・この私”の思いで」

2025/07/19 00:00(公開)

 猛暑の中、連載も50回目となりました。毎週土曜日に拙文で紙面を汚していますが、ここまで続けられたのも皆さんのおかげです。感謝申し上げます。

 

 以前週1回の連載はカレーライスを食べるのと同じぐらいの周期であると例をあげましたが、毎週記事に困らないぐらいの教え子たちの活躍や、「読んでいます」と多くの方からの励ましがとても嬉しいです。私自身筋書きのないドラマも多くありました。

 

 最近では公の場でのマナーに関する問題を何度か記事にしましたが、社会人としての自覚があまりにも希薄です。仁という字のとおり人が二人以上いたら他人のことを考えた行動をしないといけないのです。自分勝手な行動による迷惑行為のように、個があまりに強調され過ぎると、節度なき自由が暴走してしまいます。

 

 それに私が学校に行くと生徒だけでなく教員もですが、社会全体いかにあいさつができないかを実感させられるケースは多いです。私は今まであいさつに厳しい体育会に属していました。そのせいか一般社会のゆるさにあきれることがあります。

 

 整理整頓もそれらがおろそかな場所からは素晴らしい製品はできません。私は常日頃から道場で生徒たちになぜやらないといけないのか、なぜ駄目なものは駄目なのか理由から話します。道徳教育の根本は会津藩士に伝わる「ならぬものはならぬ。なぜならそれが人の道だからである」と同じと考えるからです。

 

 剣道でもそこを間違えるとチャンバラだけになってしまいます。昔から『剣は人を斬るものである。しかし何よりもまず己の心の非を斬るものでなければならぬ。敵と向かい合った際、己の心に臆病や見栄、欲やおごりなどの邪念があっては勝つことができぬ。剣の修行はまず己の邪念を捨て去ることから始まる』と言われます。

 

 心してこれからも生徒たちと元気よく、ときに厳しく稽古を積み重ねていきます。そして新聞の連載も続けながら、老化でなく深化していく自分を楽しんでいきたいです。

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