【高校野球愛知大会】磨いた「遅い球」でエースに 豊橋東の「職人」野口投手

2025/07/13 00:00(公開)
主戦の野口=刈谷球場で

 「あの子は職人」。豊橋東の藤城賢監督が主戦左腕の野口雄翔(3年)をこう表現した。ピンチの場面でも表情一つ変えず、黙々と自分の役割をこなし、飄々(ひょうひょう)と投げる姿は、「野口なら大丈夫」と監督はじめチームメートからの信頼を集めた。

 

 だが、意外にも本格的に投手を始めたのは高校1年春。中学までは豊橋市内の軟式クラブで外野手だった。コーチに勧められ「やってみるか」と始め、「最初は何も分からず、必死に先輩たちについていく毎日だった」という。1年時は100㌔前後の直球のみで、中堅校以上には歯が全く立たなかった。

 

 肘を下げたり、新球種のカーブを覚えたりして試行する毎日。分岐点は2年春の練習試合の浜松北戦だった。「緩いボールを投げたり、カーブを使ったりして思うようにアウトが取れた。緩急が武器だと気づいた」とこつを掴んだ。

 

 また、課題だった走者を背負った投球も改善した。昨夏主戦だった樋口結大さんらから「自分の立ち振る舞いがチームの雰囲気に直結する」と伝授され、「慌ててもしょうがないなと。声を出してチームを鼓舞する意識が強くなった」。

 

 結果にも表れ、春夏はエース番号の1番をつけた。110㌔前後のボールを低めに集め、夏県大会初戦の猿投農林に無失点投球。2回戦の小牧南戦では5回途中から登板。八回に左中間適時二塁打を浴びて逆転を許し、3回戦進出は果たせなかった。それでも、藤城賢監督は「よくやりましたよ。まさかあの子がですよ。正直控えで終わると思っていたし、第一印象は全くない。けど、成長できたのはたゆまない努力があったからこそ」と褒めた。野口は「自分もまさかエースになると思ってなかった。一番びっくりしている。このメンバーで戦えて、成長させてもらえて感謝」と唇をかみしめていた。

最終回のピンチを切り抜けハイタッチする野口=刈谷球場で
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。

北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

最新記事

日付で探す

光生会 藤城建設 住まいLOVE不動産 蒲郡信用金庫 虹の森 さわらび会
hadato 肌を知る。キレイが分かる。 豊橋法律事務所 ザ・スタイルディクショナリー 全国郷土紙連合 穂の国