「第107回全国高校野球選手権愛知大会」で豊橋中央は日大三(西東京)と対戦する。春夏通じて初の甲子園でのプレーは間もなくだ。74年前、夏の甲子園に出場した豊橋商業の渡辺成三さん(92)=豊橋市東田町出身、東京都在住=が後輩にエールを送る。
渡辺さんは当時3年生。1951年8月16日の1回戦で都島工(大阪)戦に8番右翼で先発出場。試合は2対3で惜敗したものの、七回に左中間を破る二塁打を放ち、反撃ののろしを上げた一人だった。
7月の愛知大会決勝で愛知を5対4で破り、甲子園の切符を手にした。試合を終えた選手たちが市内へ戻ると、バスの後ろに続き、選手らが乗った宣伝カーが広小路や駅前を巡回。「良い気持ちだった。父が『やったね』と言ってくれたのが、今でも忘れられない」と振り返る。
「何だかフワフワした感じ」「我々が入ると万雷の拍手がざわめき起り」「応援団になんといっておわびしよう」。渡辺さんが書いた「甲子園日記」には、当時の様子がつづられている。渡辺さんにとって、甲子園は特別な場所だった。「うちの畳よりいいな」と思わず青々とした芝をなでた。黒土のきれいなグラウンド、詰めかける大観衆、すべてが夢のようだったという。勝利できず「残念で残念でならなかった」と回想する。
そして今年7月、豊橋中央が愛知大会を制したと聞き、渡辺さんは「飛び跳ねるくらいうれしかった」と語る。自身の経験を重ねながら「甲子園はやっぱり特別な場所。負けて泣くより勝って泣け」と呼び掛けた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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