田原市出身の阿部葉太主将が率いる横浜高校は「第107回全国高校野球選手権大会」の準々決勝で県岐阜商に延長戦の末敗れ、春夏連覇の夢はかなわなかった。
サヨナラ負けが決まった瞬間、中堅手の阿部主将はその場に立ち尽くした。歓喜に沸く県岐阜商ナインを見てその校歌を聞き、アルプス席に向かうと、控えの3年生らが待つ応援団に両手を合わせてわびた。そのまま膝をついて泣き崩れた。「頭が真っ白になった。応援してくれた人たちの顔が浮かんで、申し訳ない気持ちでいっぱいでした」と振り返る。
この日の阿部主将は攻守で活躍した。延長十回には勝ち越しの2打点を挙げ、守備でも二回、中堅前に落ちそうな打球に飛び込み、ダイビングキャッチ。チームを鼓舞し続けた。
それでも後悔はない。1年生からスタメンを勝ち取り、2年からは主将に。一方、チームは2年連続で夏の県大会は準優勝で悔し涙を流した。「横浜1強」を掲げ、新チームが始動した秋の神宮大会で優勝し、今春のセンバツでも頂点に立った。「夏はベスト4だったが、すべてを出し切った試合だった。『良かった』とは言えないが、楽しい試合でした」
23日には、在籍した「愛知豊橋ボーイズ」を訪問。豊橋中央の髙橋大喜地選手や松井蓮太朗選手ら同期とプレーした。甲子園初出場した豊橋中央との対戦はかなわなかったが「直接戦ってみたい気持ちはあったが、東三河の仲間が同じ大会に出られただけでもうれしかった」と話す。後輩たちには「高校野球は短いから、1年目から出られる準備をしてほしい」とメッセージを残した。
来年4月からは大学野球でプレーする。「100安打」を目標に掲げる。最終的にはプロ入りを見据えている。「まずは大学でしっかり結果を残し、プロに行きたい。横浜高校への恩返しはこれから。活躍して証明したい」。次の舞台でも「自分らしい野球」を貫いていくつもりだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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