【準硬式野球】「父のおかげで夢かなった」 親子で追いかけた甲子園

2026/03/30 00:00(公開)
写真:ユニホーム姿の白井さん(後列左から3人目)と応援に駆け付けた父(後列左端)ら=甲子園で(提供)
写真:ユニホーム姿の白井さん(後列左から3人目)と応援に駆け付けた父(後列左端)ら=甲子園で(提供)

 第98回選抜高校野球の決勝が31日に行われる。数カ月前、同じ舞台で、「もう一つの甲子園」に挑んだ大学生がいた。名古屋商科大学4年で桜丘高校出身の白井奎伍さん(22)だ。

 

 昨年11月、白井さんは「東西対抗甲子園大会」に東日本選抜の一塁手として出場した。高校時代にはあと一歩で届かなかった。「今までで一番緊張したかも」と入った第1打席、変化球を振り抜くと、打球は右前へ落ちる安打となった。納得の当たりではなかったというが、そこには父美孝さん(52)の思いや4年間の執念が宿っていた。一塁上の白井さんは、お笑いコンビ「ダイアン」津田篤宏さんのギャグ「ゴイゴイスー」のポーズを決めた。スタンドで見守った美孝さんは「奎伍のおかげで夢がかなった」と目を潤ませた。

 

 野球のきっかけは美孝さんだった。小学4年で始めて以来、一番の理解者で最初のコーチだった。仕事で疲れていても、母とともに庭で夜遅くまでティーバッティングに付き合ってくれた。

 

 美孝さんはかつて桜丘の主力として甲子園を目指したが、地区大会で敗退した。白井さんの桜丘進学も父の夢を引き継ぐためだった。しかし高校3年の夏は5回戦で敗退する。一時は野球をやめようと考えたが、父の「続けてほしい」という言葉と監督の勧めで、同大の準硬式野球部に入部した。 

 

 全国大会ではレベルの高さに驚いたが、本気で取り組んだ。主将就任後は重責を担い「精神的に成長できた」と語る。1年秋からベストナイン、2年秋には地区首位打者に輝いた。

 

 甲子園大会の選抜枠は地区で最大5人。実績と書類審査に込めた熱意が評価され、選出された。「お世話になった方々に恩返ししたい」という願いが結実した。

 

 当日は親戚ら15人が駆け付けた。「遠回りはしたが、ようやく甲子園で野球をする姿を見せられたのはうれしい。4年間、魂を込めて努力した結果だ」と話した。卒業後も勤務先で軟式野球を続ける。「準硬式で培った魂を社会人になっても大切にしたい」と語った。

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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