新城市出身で映像制作会社に勤務するアニメーション作家のヤカタ・カナタさん(28)=本名・田中孝弥さん=が監督・制作した短編アニメーション「Bucketman」が、今年の「アヌシー国際アニメーション映画祭」においてパースペクティブ部門の短編作品に選出された。ヤカタさんにとって初のアニメーション作品だ。
フランスのアヌシーで毎年開催される同映画祭は、世界最大級のアニメーション映画祭。今回選出されたパースペクティブ部門は、独自の視点や新しい表現方法に焦点を当てた短編作品を取り上げており、革新的な表現を評価するカテゴリーとして世界的に注目されている。本作は世界中から集まった作品の中から、17作品のなかの1本として選出された。日本人作家の同部門への選出自体が多くないうえ、美術大学や芸術大学での専門教育を受けていない個人作家による作品としての選出であり、国際的に高い評価を受けた形となる。
「Bucketman」は、バケツをかぶって暮らすことが義務とされている街を舞台とした作品である。主人公の男は自身の安定した生活を守るため、どこの誰かもわからない人物の書類を墨消しする仕事をしているが、ふとしたきっかけでバケツが取れてしまい、妙な主張をする老人を目にするという物語が展開される。
本作を制作した理由について、ヤカタさんは現代社会に対する強い問題意識を挙げている。近年広まる排他的な風潮や、複雑化する社会において単純な答えを求める人々の傾向に懸念を抱いていたという。
また、情報があふれる環境下で何が正しいのかを見極めることが難しくなり、すべてを遮断したくなる現代人の心理も制作の背景にある。物語を構築する出発点となったのは「大人の真の義務は、子どもが現在の社会や政治を気にすることなく、子どもらしい毎日を送れるようにすることだ」というポーランド人の児童作家コルチャックの言葉だったという。作品には「現代の子どもたちはいつ大人になり他者を思いやれるようになるのか」「自分自身は本当に大人になれるのだろうか」という作者自身の葛藤や問いかけが込められている。
制作にあたっては、メインキャラクターを除き、背景やサブキャラクターのほぼ全てを、アクリルガッシュと色鉛筆で手描きした。ヤカタさんは「AIやデジタル技術が急速に発展する今だからこそ、人の手の痕跡や熱意がアナログのほうが伝わりやすいのではないかと感じました」とコメントした。
ヤカタさんは1997年生まれ。名古屋市のCG専門学校を卒業後、映像制作会社に勤務する傍らで個人作品の制作を行ってきた。過去には短編絵本でグランプリ佳作を受賞した経歴も持つ。会社員として働きながら制作された初のアニメーション作品が、世界的な舞台で脚光を浴びることとなった。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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