豊橋市が整備を進める新アリーナ(多目的屋内施設)の建設事業について、市は約2年間の事業一時中止に伴う費用のイメージを明らかにした。総額約40億円余の追加費用について、8日開会の市議会で補正予算案として審議を求める。
市の資料によると、一時中止に伴う費用は「増加費用」と「変更費用」に分けられる。増加費用は2億6016万円で、2024年11月11日の工事一時中止から25年10月27日の工事再開までの期間に発生した現場維持費や人件費、弁護士費用などの外部委託費用などに充てられる。変更費用は37億9554万円となり、工期遅延に起因する設計と建設費の変更、物価上昇や下請業者の再選定による見積費用の増加分が含まれる。
これらの支払い方法についても詳細が示された。増加費用については、市が速やかに予算措置を行った上で、両者が合意した期日までに一括払いすることを基本としつつ、設計と建設期間中に限り分割払いも可能とした。また、変更費用については、設計と建設期間中の出来高に応じて支払う方法をとるが、別途合意した場合は一括払いも可能としている。
変更費用の財源には約9億5000万円を一般財源、約28億5000万円を地方債で充てる方針だ。
また、市が市議会定例会に向けて公表した補足資料により、事業者との間で交わされた合意の具体的な内容が判明した。市は5月22日に事業者「豊橋ネクストパーク」と合意書を締結した。
市議の諸井菜々子氏(新しい豊橋)がSNSで興味深い試算を公表している。内容は「仮に一時中止せず、概ねスケジュール通りに進んでいたならば、追加費用はいくらであったのか」だ。長坂尚登市長が工事中断を指示せず、予定通り進んでいた場合、市の追加負担分は約9億5500万円にとどまり、今回示された変更費用と増加費用の合計約40億6000万円と比較して、約31億円ほど安く済んだ可能性があるという。
入札が公告された2023年10月時点の建設工事費デフレーター(物価変動指数)は124・3だったが、事業再開時の25年10月には131・4となり、5・7%上昇している。未完了の残工事代金を総事業費の230億円と仮定し、この物価上昇分を反映させると、事業費の増加額は約13億円となる。
契約条項では、物価変動による増額分のうち、残工事代金の1・5%(3億4500万円)を超えた部分を市が負担すると規定されている。この計算式に当てはめると、市が負担すべき純粋な追加費用は、約13億円から3億4500万円を差し引いた9億5500万円になると推定されるとしている。
諸井氏の試算は、社会情勢による物価高騰の要因だけでは説明しきれない、一時中止の判断そのものが招いた約31億円もの追加負担の存在を浮き彫りにした形だ。この”長坂ロス(損失)”とでも言うべき追加費用の詳細な内訳や発生原因については、16日の市議会予算委員会で審議される。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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