名古屋大学大学院生命農学研究科の古川恭平助教や村井篤嗣教授らの研究グループは、産卵ウズラに与える飼料用トウモロコシを玄米に全量置き換えても産卵数や卵黄重量などの基本的な生産成績が維持されるとともに、卵黄中の健康機能成分が増加し、脂質組成が変化することを解明したと発表した。研究成果はオランダの国際科学誌「Food Chemistry」に掲載された。
日本の畜産業では輸入トウモロコシの高騰が課題となっており、国産の飼料用米への転換が進められているが、卵の成分や品質に及ぼす影響には不明な点が多く残されていた。研究グループは、生体内のアミノ酸や有機酸などの低分子代謝物を網羅的に測定するメタボローム解析や、脂肪酸や中性脂肪などの脂質成分を分析するリピドミクス解析、これらを組み合わせた多層オミクス解析(遺伝子や代謝物、脂質など多種類の分子を包括的に調べる手法)を用いて評価を行った。
解析の結果、玄米を給与したウズラの卵黄では、抗酸化作用や脂質代謝調節に関与する含硫化合物であるタウリンの濃度が増加したほか、高い抗酸化能を持つビタミンEの一種であるα-トコトリエノールが蓄積することを世界で初めて突き止めた。また、卵黄全体の脂質量は変化しなかったものの、体内で合成できない必須脂肪酸のリノール酸が低下し、肝臓で新たに合成される脂肪酸の割合が増加するなど脂肪酸組成が大きく変化していた。
こうした変化は、玄米に含まれる成分が直接卵黄へ移行する経路に加え、玄米給与によってウズラの肝臓での脂肪酸合成に関わる遺伝子発現が上昇し、体内の脂質代謝そのものが変化するという二つの経路によって引き起こされていることが判明した。
今回の成果は、玄米が単なるトウモロコシの代替飼料にとどまらず、特定の健康成分を多く含む機能性卵の開発や、卵のおいしさや風味を決定づける脂質構造の科学的解明に貢献すると期待されている。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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